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by まぐまぐ2008年06月13日
運転室での悶絶(2)
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■■■
■■■ 鉄道業界の舞台裏 第0071号
■■
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○ 鉄道業界の舞台裏のホームページ
○ 前回までのあらすじ
○ 運転室での悶絶(2)
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鉄道業界の舞台裏のホームページ
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▼バックナンバー
▼読者からの書き込み
http://railman.seesaa.net/
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前回までのあらすじ
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運転士の御手洗(みたらい)さん(仮名)は、昼過ぎの下り乗務中に突然
便意に襲われた。途中駅での待ち時間もなく、トイレに行けるチャンスは
終点の折り返し時間しかない。
指令に連絡し、列車を遅らせて途中駅でトイレに駆け込むという選択肢も
あるのだが、気が引けるし、便意の周期がまだ長いので耐えられると判断
した。
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運転室での悶絶(2)
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御手洗さんは、まさに祈るような思いでハンドルに手を添え、前方を凝視
した。
ズン!と来る便意が引くと、潮が引いたように落ち着くが、次の便意が
来る恐怖と、お腹が張った感じはあるので、トイレに行きたいという
気持ちは強い。
前方を凝視して、気持ちだけは終点の駅に向かって突っ走るが、列車は
ノロノロとしか走らない。
(このまま全速力で終点まで駆け抜けたい…)
終点が近づくにつれてカーブも増える。途中駅にも止まらなければならない。
ノッチを入れ続けたいが、そうはいかない。
ズン。…。…。ズン。…。…。ズン。…。ズン。…。ズン。
(お、おかしい。今日は周期が短くなるペースが早過ぎる!)
便意が来るたびに冷や汗がにじみ、便意が引くと冷や汗も引っ込む。
しかし、だんだん冷や汗が引っ込む間もなくなるぐらい、便意の間隔が短く
なった。
ズン!ズン!ズン!
(うっ、うぉぉー!)
もう、座ってなんかいられない。椅子から立って、立ったままハンドルを
握り、足をバタバタ、クネクネさせるが、今日の便意は容赦ない。
(こ、これはやばい!)
客室とのブラインドを閉め、自分の世界に集中してみる。これから終点
までは自分との激しい戦いだ。子供やマニアに背後に立たれては、戦いに
支障をきたす。
「あっ…。ぐぅ…。だ、第二閉塞、進行…。」
いつもはなんとなく指差称呼するだけの信号だが、全神経を集中して進行
現示を確認する。肛門を意識しないようにしても、便意は消えるはずない。
むしろ、肛門に意識を残しておかないと、惨事になってしまいそうだ。
脂汗が流れ、頭の中が白くなってくる。
(だ、誰か、助けて…)
白い頭の中で妄想が浮かんだ。車掌が、
「お客様の中で、電車の運転ができる人はいませんか?」
と放送している。飛行機ではあるまいし、そんな馬鹿なことはない。仮に
運転士仲間が客として乗っていても、昔と違って代わってくれることは
ないし、代わってくれたところでこの電車にはトイレがない。何の解決
にもならない。
(うっ!)
終点まであと3駅というところで、少し漏れ始めてしまった!
しかし、まだ少量のはず。それに、少し出てしまった分、余裕が生まれた
のではないだろうか。
ズン!ズン!ズン!
(ま、まだ治まらない!)
余裕など生まれていなかった。本格的なものが肛門をこじ開けて出てきそ
うだ!
列車の加速区間が終わり、ノッチオフで惰行する区間になったところで、
御手洗さんは無意識にベルトを緩め、ズボンを下ろした。ズボンを汚す
わけにはいかない。ズボンだけでも避難させたのだ。
その瞬間、肛門は破られた。下着が重くなるのを感じながら、急いでドウ
ランの中の新聞紙を取り出し、下着から溢れた場合に受けとめらるように、
足元に広げた。
(やってしまった…)
お腹はズンズンと波打ちながらも、急速に楽になった。しかしホッとして
いる場合ではない。一方で新たな問題を抱え込んでしまったのだ。この
下着と新聞をどうすべきか。
今度は逆に、終点が近いのが辛い。終点に着いたら、ここを片付け終わって
いなければならないのだ。
恐る恐る下着を下ろし、新聞紙の上に落とし、ちり紙で体に着いた汚れを
取って、ズボンをあげる。不幸中の幸い、被害はそれほど大きくなく、
上手に手早く片付けられた。
ブレーキをかけ、速度を落としながら、終着の2駅前で停車。新聞紙の上
の悪臭以外、普段と変わらない姿である。客などに運転室を見られても、
苦情が出るようなことはない。ここまで手早く済ませられたのは、ある種
の奇跡である。
幸いにも、終着に近いこの辺は、乗降客もほとんどいないし、社員が途中
添乗してくる可能性もない。
途中添乗者など現れれば、人生、人格が崩壊してしまう。横目で添乗者が
来ないことを確認し、車掌がドアを閉め、戸閉めランプが点灯すると、
そそくさと発車させる。
運転室は強烈な臭いに包まれていた。後は何とかこの臭いの元を処理しな
ければ。
(そうだ!この先に鉄橋がある!)
鉄橋の下の川に投げ捨てれば、保線の人間にも気づかれない。
やってはいけないことは百も承知だが、これは人格に関わる大問題だ。
美しい山間の風景の中を列車は走る。惨劇のあった運転室では窓が全開に
され、御手洗さんはチャンスを伺う。
いつも以上に速度を落とし、ノッチオフしたところで丸めた新聞紙を片手
に持つ。
鉄橋に差し掛かる。川幅は広くないので、余裕はない。迷うことなく新聞
紙を力いっぱい投げ捨てた。
(思い出よ!さようならー!)
誰にも言えない不祥事。それでも何とか自己処理できてしまった。
終着駅。列車をいつものようにホームに滑ませると、御手洗さんの目ま
ぐるしい下り乗務は終了した。
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鉄道業界の舞台裏 2008.6.13 第0071号
「運転室での悶絶(2)」
発行者: 鉄道業界舞台裏の目撃者
http://railman.seesaa.net/
railman@u01.gate01.com
発行 : まぐまぐ
※配信の中止など: http://www.mag2.com/m/0000158705.html
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運転士の御手洗(みたらい)さん(仮名)は、昼過ぎの下り乗務中に突然
便意に襲われた。途中駅での待ち時間もなく、トイレに行けるチャンスは
終点の折り返し時間しかない。
指令に連絡し、列車を遅らせて途中駅でトイレに駆け込むという選択肢も
あるのだが、気が引けるし、便意の周期がまだ長いので耐えられると判断
した。
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運転室での悶絶(2)
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御手洗さんは、まさに祈るような思いでハンドルに手を添え、前方を凝視
した。
ズン!と来る便意が引くと、潮が引いたように落ち着くが、次の便意が
来る恐怖と、お腹が張った感じはあるので、トイレに行きたいという
気持ちは強い。
前方を凝視して、気持ちだけは終点の駅に向かって突っ走るが、列車は
ノロノロとしか走らない。
(このまま全速力で終点まで駆け抜けたい…)
終点が近づくにつれてカーブも増える。途中駅にも止まらなければならない。
ノッチを入れ続けたいが、そうはいかない。
ズン。…。…。ズン。…。…。ズン。…。ズン。…。ズン。
(お、おかしい。今日は周期が短くなるペースが早過ぎる!)
便意が来るたびに冷や汗がにじみ、便意が引くと冷や汗も引っ込む。
しかし、だんだん冷や汗が引っ込む間もなくなるぐらい、便意の間隔が短く
なった。
ズン!ズン!ズン!
(うっ、うぉぉー!)
もう、座ってなんかいられない。椅子から立って、立ったままハンドルを
握り、足をバタバタ、クネクネさせるが、今日の便意は容赦ない。
(こ、これはやばい!)
客室とのブラインドを閉め、自分の世界に集中してみる。これから終点
までは自分との激しい戦いだ。子供やマニアに背後に立たれては、戦いに
支障をきたす。
「あっ…。ぐぅ…。だ、第二閉塞、進行…。」
いつもはなんとなく指差称呼するだけの信号だが、全神経を集中して進行
現示を確認する。肛門を意識しないようにしても、便意は消えるはずない。
むしろ、肛門に意識を残しておかないと、惨事になってしまいそうだ。
脂汗が流れ、頭の中が白くなってくる。
(だ、誰か、助けて…)
白い頭の中で妄想が浮かんだ。車掌が、
「お客様の中で、電車の運転ができる人はいませんか?」
と放送している。飛行機ではあるまいし、そんな馬鹿なことはない。仮に
運転士仲間が客として乗っていても、昔と違って代わってくれることは
ないし、代わってくれたところでこの電車にはトイレがない。何の解決
にもならない。
(うっ!)
終点まであと3駅というところで、少し漏れ始めてしまった!
しかし、まだ少量のはず。それに、少し出てしまった分、余裕が生まれた
のではないだろうか。
ズン!ズン!ズン!
(ま、まだ治まらない!)
余裕など生まれていなかった。本格的なものが肛門をこじ開けて出てきそ
うだ!
列車の加速区間が終わり、ノッチオフで惰行する区間になったところで、
御手洗さんは無意識にベルトを緩め、ズボンを下ろした。ズボンを汚す
わけにはいかない。ズボンだけでも避難させたのだ。
その瞬間、肛門は破られた。下着が重くなるのを感じながら、急いでドウ
ランの中の新聞紙を取り出し、下着から溢れた場合に受けとめらるように、
足元に広げた。
(やってしまった…)
お腹はズンズンと波打ちながらも、急速に楽になった。しかしホッとして
いる場合ではない。一方で新たな問題を抱え込んでしまったのだ。この
下着と新聞をどうすべきか。
今度は逆に、終点が近いのが辛い。終点に着いたら、ここを片付け終わって
いなければならないのだ。
恐る恐る下着を下ろし、新聞紙の上に落とし、ちり紙で体に着いた汚れを
取って、ズボンをあげる。不幸中の幸い、被害はそれほど大きくなく、
上手に手早く片付けられた。
ブレーキをかけ、速度を落としながら、終着の2駅前で停車。新聞紙の上
の悪臭以外、普段と変わらない姿である。客などに運転室を見られても、
苦情が出るようなことはない。ここまで手早く済ませられたのは、ある種
の奇跡である。
幸いにも、終着に近いこの辺は、乗降客もほとんどいないし、社員が途中
添乗してくる可能性もない。
途中添乗者など現れれば、人生、人格が崩壊してしまう。横目で添乗者が
来ないことを確認し、車掌がドアを閉め、戸閉めランプが点灯すると、
そそくさと発車させる。
運転室は強烈な臭いに包まれていた。後は何とかこの臭いの元を処理しな
ければ。
(そうだ!この先に鉄橋がある!)
鉄橋の下の川に投げ捨てれば、保線の人間にも気づかれない。
やってはいけないことは百も承知だが、これは人格に関わる大問題だ。
美しい山間の風景の中を列車は走る。惨劇のあった運転室では窓が全開に
され、御手洗さんはチャンスを伺う。
いつも以上に速度を落とし、ノッチオフしたところで丸めた新聞紙を片手
に持つ。
鉄橋に差し掛かる。川幅は広くないので、余裕はない。迷うことなく新聞
紙を力いっぱい投げ捨てた。
(思い出よ!さようならー!)
誰にも言えない不祥事。それでも何とか自己処理できてしまった。
終着駅。列車をいつものようにホームに滑ませると、御手洗さんの目ま
ぐるしい下り乗務は終了した。
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鉄道業界の舞台裏 2008.6.13 第0071号
「運転室での悶絶(2)」
発行者: 鉄道業界舞台裏の目撃者
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