年を越せない人々

 「誰も語りたがらない 鉄道の裏面史」

佐藤 充 5年ぶりの書き下ろし!
107 名の死者を出した「福知山線脱線事故」、政治家の思惑がからみあう「新幹線の利権」、鉄道が買われる「阪神電鉄村上ファンド買収事件」、東京を襲った未曾有のテロ「地下鉄サリン事件」、首都圏で起こった乗客の暴動「上尾事件」、初代国鉄総裁の謎の死「下山事件」……
2015年5月15日発売
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年を越せない人々

鉄道会社の社内では、特別な一斉放送で、各現場、支社に列車の運行情報を流す。

「指令室より、列車運行情報についての情報です。」

「○○時△△分頃ですが、□□駅にてポイント不転換が発生したため、▽▽線は現在上下線とも運転を見合わせています。」

などなど。

設備担当は、設備故障の情報にドキッとし、車両担当は車両故障の情報にドキッとさせられる。楽しい情報などは流れてこない。


その一斉放送、年の瀬のこの時期には、なぜか「人身事故」の情報が増える。

筆者は鉄道に入る前、「人身事故」といえば、ホームでの列車とお客さんとの接触事故のことだろうと思っていたが、実態は大きく違う。
「人身事故」といえば、列車への飛び込み自殺である。

飛び込み自殺に季節など関係なさそうだが、やはり年の瀬は多い。
指令室からの一斉情報を聞いていると、(他社線も含め)近隣各県のどこかで、毎日人身事故が発生しているような状況だった。


筆者のようなサラリーマンには良く分からないが、金策に走る人々にとっては、年を越せるかどうか、瀬戸際に立たされるらしい。
(そのうえ、当時は不況の真っ只中。)

また、経済的な理由でなくても、クリスマス、正月とにぎやかな季節は、孤独な人たちが余計に孤独を感じてしまうのだろう。

とにかくこの時期、人身事故は多い。五月病と言われる時期も人身事故は多そうだが、年の瀬の方がよっぽど多い感じがする。

逆に、「人身事故」の増加で、年の瀬が迫っていることを感じるのが鉄道マンである。


「指令室より列車遅延についての情報です。」

「○○時△△分頃ですが、□□駅にて人身事故発生…。」


一斉放送を聞く設備担当、車両担当は、「列車遅延」の言葉にドキッとするが、「人身事故」と聞いて胸をなでおろす。次いで、設備や車両が壊れなかったかを心配する。
不謹慎な話だが、人身事故が日常茶飯事なので、死者を弔う気持ちより自分の仕事への影響を心配する。
列車が遅れた原因が、設備や車両ではなく、死体ならば責められない。
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 23:28 | Comment(2) | TrackBack(0) | 人身事故・鉄道雑学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
管理人様、明けましておめでとうございます。私は今年で41歳の厄年を迎える中年鉄オヤジです(笑)
昨年、暮れに某大手電鉄T電鉄の100%子会社の警備会社に契約社員として採用され、5日間の法定研修と実務研修を終え、4日から実地研修を1ヶ月間受け2月1日から本格的に勤務に就きます。管理人様ならご存知かも知れませんが、T電鉄沿線専門の警備会社で、その中の鉄道部門に特化した「鉄道警備隊」に応募・採用されました。管理人様ならお判り頂けると思いますが、電鉄100%子会社なのでクオリティを重視した研修が行われ、指示系統は各駅の駅長・助役・駅務員さん達の補佐をしながら、お客様の安全・安心も確保するという大変厳しい職場です。
当然、電鉄会社もお客様なので駅務員さんや助役さんのご機嫌を損ねてはならないし、ご利用されている一般のお客様の安全管理や駅施設の防火・防犯・防災などなど仕事内容は多岐に渡ります。
そういう意味ではキツイ職場ですが、この歳にしてようやくつかんだ就職なので頑張ってみたいと思っています。
ちなみに就職した警備会社の社長は電鉄会社の役員だった方ですが、組織としてはまだ小さいのでかなりやりやすい職場であるという説明がありました。なんでも社長さんは電鉄勤務時代から異端児として知られ、徹底した現場主義者のようです。
むしろ、実際に勤務する駅係員といかにコミュニケーションをとり、仕事がスムーズに進行する環境作りが求められると思います。



Posted by くさたん at 2006年01月01日 11:02
くたさん様

あけましておめでとうございます。
また、就職おめでとうございます。

鉄道事業では近年、警備の仕事のウェートが増してきました。
アメリカでのテロの前は、警備が必要なときには、管理部門の社員
が借り出されたり、外部の警備会社にお願いしたりしていましたが、
今や警備は日常欠かせない業務になっていますね。

痴漢も減らないようですから、警備の人の存在は大きいものがあります。

新年と就職と、おめでたいことが続いて何よりですね。駅の人とも
仲良くなって、充実したお仕事になることをお祈りしています。

勤務中のエピソードでもあれば、差しさわりのない範囲で、また
書き込んでください。
Posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 2006年01月03日 15:37
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