コネ入社の2世社員(1)

 「誰も語りたがらない 鉄道の裏面史」

佐藤 充 5年ぶりの書き下ろし!
107 名の死者を出した「福知山線脱線事故」、政治家の思惑がからみあう「新幹線の利権」、鉄道が買われる「阪神電鉄村上ファンド買収事件」、東京を襲った未曾有のテロ「地下鉄サリン事件」、首都圏で起こった乗客の暴動「上尾事件」、初代国鉄総裁の謎の死「下山事件」……
2015年5月15日発売
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コネ入社の2世社員(1)

小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎。ここ数年の日本の総理大臣を見ても、政治家一家からの輩出である。
今の閣僚にしても、鳩山邦夫、中曽根弘文、浜田靖一、小渕優子と、同様に有名政治家の子、孫が多い。
閣僚は世襲制なのか、貴族制なのか、と揶揄したくなる。

彼らは、選挙の地盤を引き継ぐから世襲になるのだろうが、民間企業の鉄道会社でも縁故によるコネ入社があるので、2世の社員は少なくない。
「鉄道一家」といわれるように、親子だけでなく、兄弟、親戚を含め、一家で鉄道という人もいるほどだ。

(内定へのスペシャル切符)
http://railman.seesaa.net/article/14104269.html

2世だろうと鉄道一家だろうと、普通に働いてくれれば問題はない。もちろん、目立たず、普通に働いている人の方が多い。
ローカルな地域では、役所、警察、消防などと同様、鉄道は貴重な雇用の受け皿となっている。そのため、一家や代々で鉄道で働くこともある。
そういう、地域に根ざした、現場で働く人々は、2世でも一家でもほとんど気にかからない。

(現場採用のオヤジたち)
http://railman.seesaa.net/article/113213075.html

問題なのは、出世街道を歩む、大卒総合職の縁故入社の一部の社員。
彼らは、学歴もそれなりのものを持ってコネで入社してくるので、当然、管理者にもなる。
管理者の中にはとんでもないのがいるが、とんでもない2世管理者が多いのである。
(2世だから目立つ、というのもあるが。)
鉄道会社での出世は、個人の能力を評価しにくいだけに、政治的なものになりやすい。そのため、どうしても、親が上位職の人に対しては、出世、配属で配慮されやすい。


【困った2世社員ファイル(1)】
「おい、うちの乗務員が戻ってこれないじゃないか!ダイヤを下手に触るな!!」

ダイヤが乱れたとき、社内では怒号が飛び交う。
混乱しているとき、大声を上げている方が英雄的に見えてしまうので、役にも立たないのに怒号だけ上げる人が多い。
(大概、映画などでも、混乱時に英雄は叫んでいる。冷静な顔をして淡々としていたら見応えがない。)

だが、実際には、役に立たないお馬鹿な管理者こそよく叫ぶ。
冒頭、叫び声を上げたのは、乗務員区の区長。大卒総合職の2世社員。
人身事故などで運転が停止した場合、指令室ではどんどんダイヤを運休にさせていく。
当然のことだ。列車が止まっているのである。運休でダイヤを減らさないと、運転が再開したときにダイヤが平常に戻らない。
それも、特急や新幹線と違い、一般の列車ならば座席の指定もないのである。
運休にして、ダイヤを溢れさせないようにする、車庫に取り込める車両は取り込んで、車両が線路上に溢れるのも防ぐ。これが混乱を最小限に抑えるための基本。
運休をしないと、90分運行が止まった場合、運転再開時の遅れは全列車で90分。遅れは拡大し、90分では済まなくなり、何よりいつまでたってもダイヤは乱れたまま。列車はスムーズに動かず、どの列車もすし詰め状態。
それが何時間も続く。そうなったら最悪なのだ。

ダイヤが乱れると、乗務員は勤務上、確かにつらくなる。ダイヤが正常ならば乗務を終え、区所に戻って勤務終了となるところが、列車の運行が止まったことで帰れなくなる。泊まり勤務の終わり間際、ダイヤ乱れで
帰れなければ確かにつらい。
しかし、ダイヤ乱れの時には、まずは混乱が最小限になるように間引きを行い、その後で乗務員や車両の整理を行うのである。列車が動いていないのだから、乗務中の乗務員を解放させる手段はない。

乗務員区では、乗務員の勤務の調整、乗務員をダイヤに漏れなく張り付かせるために混乱する。それも仕方がないことである。
そういうことが分かっているのかいないのか、混乱時、英雄顔で無理なことを叫ぶお馬鹿な区長は、

「お前らのダイヤの回し方が悪いから、うちの乗務員が帰れないんだよ!」

と叫ぶ。
そもそも、区長が指令に怒鳴るのが異常である。指令と連絡をするのは区長の仕事ではない。

こういう人に邪魔をされないように、指令には「支社長代行」という特別な権限が与えられている。横から、役職者がゴチャゴチャ言ってきて、混乱に拍車をかけさせないようにしているわけだ。

しかし、「支社長代行」の印籠の前に平伏すわけではない。大きな声で文句だけたっぷりと言い、周囲に「指令はアホだ」と言いふらすことで、責任転嫁の自己弁護をする人が多い。
残念ながら、そういう困り者が、現場の区長ともなればたしなめる人もいない。これよりも上位の人は事情を知らずに納得するか、事情を知って眉をしかめても、人事異動が頻繁なので、短い期間の辛抱と口をつむぐ。

周りから疎まれながらも、そこそこのキャリアを歩んでしまう困り者。
確かに、昇進試験ではこういうお馬鹿加減は数値化されない。憎まれっ子は、世にはばかるものである。

posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 11:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道会社の出世競争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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