旅行業のお嬢さんたち - 某JRの愛すべき社員

 「明暗分かれる鉄道ビジネス」

佐藤 充 4年ぶりの書き下ろし!
沿線に住民がいる限り、あるいは東京~大阪を移動する人がいる限り、JR東日本やJR東海には金が落ちる。その金額は2〜3兆円にもなり、まさに「金のなり木だ」。一方、需要の少ないところではいかに身を切る努力をしても経営が成り立たない。
JR各社と大手私鉄の鉄道ビジネスを俯瞰的に見渡しながら、儲けの仕組みを解き明かす。
2019年9月30日発売
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旅行業のお嬢さんたち - 某JRの愛すべき社員

以前、駅の出札(み○りの窓口)のガラの悪い「営業職」の人たちのことを書いた。

 「俺は営業(1)」http://railman.seesaa.net/article/20167784.html
 「俺は営業(2)」http://railman.seesaa.net/article/20887998.html

荒くれた鉄道文化の血を引くオジサンの中には、とんでもない人がいるものである。

対照的に、旅行業の窓口の女の子たちは人当たりが良い。
混雑する駅の出札の場合、「スピードが命」とばかり、人をさばくように接客する人もいるが、旅行業の窓口は、もともと接客時間が長くなる商品を売るところなので、ゆったりしている。

切符の発券は圧倒的に出札の方が早いが、買う方がモタモタしていると、出札のオジサンにイライラされて嫌な顔をされかねない。
商品を売るほうがイライラし、買う方がオロオロするのも変な話だが、国鉄時代からの悪習。それとは無縁の女の子たちが登場したのはうれしいことである。
長距離切符や定期券は安いものではない。物腰柔らかく、丁寧に接客して欲しいものだ。

一方で、彼女たちは驚くほど鉄道を知らなかったりする。
(今は、契約社員がほとんどになっているので、なおさらかもしれない)

秋田新幹線が開業した頃の話。

サラリーマン風の中年男が、旅行業の窓口に切符を買いに来た。

「来週水曜日、朝9時代のやまびこで盛岡まで。禁煙の窓側で。乗車券はここからね。」
(当時は「はやて」が登場しておらず、「やまびこ」が盛岡までの最速列車であった)

「かしこまりました。しばらくお待ちください。」

普通の駅員とは違った、ちょっとおしゃれな制服を着た旅行業の女の子。
鉄道会社の社員とはいえ、気持ちは旅行会社で働いている気分で、丁寧な接客をする。
もう数年のキャリアがあり、マルスの操作は慣れたもので、流れるように入力して発券。
機械から出てくる乗車券、特急券を、受け取って内容を確認する。

「あれ?秋田新幹線の切符が出てきた・・・」

いつもどおり発券したのに、いつもと違う!
行き先はちゃんと盛岡になっているのに、「やまびこ」になっていない。
マルスがおかしい?ひょっとして大変なことが起きたのかも!
慌てて先輩の元に駆け寄る。

「これって、秋田新幹線ですよね・・・、盛岡なのに「こまち」が出てきちゃって・・・」

先輩の女の子も「???」と、しばらく無言。

ちょっとちょっと、お嬢さんたち。秋田新幹線「こまち」は、盛岡まで「やまびこ」(当時)と連結して走りますから。東北新幹線を経由しないで、どうやって秋田まで行くと思っているの?

鉄道会社には、ディープなマニア社員が潜んでいて、彼らにはしょっちゅう驚かされる。
完全に贔屓目だが、旅行業の窓口の女の子たちの無知さには、驚かされても微笑ましく感じる。



  図解入門業界研究 最新鉄道業界の動向とカラクリがよーくわかる本




 業界のシリーズ本で、鉄道業界の本が新たに刊行された。
 筆者は亜細亜大学講師の佐藤信之氏。
 「鉄道ジャーナル」にも連載している人である。
 
 「交通政策」が専門なので、(就職を志す人にどれだけ役立つかは疑問だが)鉄道の施策に関わる法律にページを割(さ)いている。
例えば、新線の建設で、どの法律に基づいて、どの財源を使って補助金を出しているか、などの説明である。

その他、鉄道会社だけでなく、信号機メーカー、車両メーカーなどにも触れているところが、業界本としての完成度を高めている。

リクルートの調査によると、2010年卒の大学生の就職志望企業ランキングで、1位JR東海、2位JR東日本と、不況の影響で人気が上がっている鉄道業界。この本も売れ行き好調だとか。


 図解入門業界研究 最新鉄道業界の動向とカラクリがよーくわかる本
 佐藤信之(著) 秀和システム

(類書)

 よくわかる鉄道業界 (業界の最新常識)
 舛本 哲郎 (著), 小須田 英章 (著)  日本実業出版社



posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 20:31 | Comment(1) | TrackBack(0) | 某JRの愛すべき社員たち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。以前、鉄道の現業をにいた者です。旅行センターも経験しました。

一般人には正社員か契約社員かは区別がつきませんけど、出札と旅行センターの女子たちをみていると、イレギュラーなニーズに対応できない子が多すぎます。私の見方にすぎませんけど。

この子、時刻表のピンクのページや地図帳を読み込んでるなー、とか、自分でも乗り歩いて研究してるなーみたいな子にほとんど出会いません。

「せんだい」と言われて、東北の「仙台」と思いこみ、鹿児島本線の「川内」を思いつかずにお客様を怒らせてしまった子。号車座席位置の細かい指定の仕方が分からずに、「満席です」と言ってしまう子。

業務知識の不足や不正確さを感じの良さでカバーしないで!重箱の隅をつつくようなお客さまをかわす術ばかり磨かないで!と言いたくなる場面もよく見ます。
Posted by 昔レールガール at 2011年09月23日 14:18
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