辞令とともにさようなら

 「明暗分かれる鉄道ビジネス」

佐藤 充 4年ぶりの書き下ろし!
沿線に住民がいる限り、あるいは東京~大阪を移動する人がいる限り、JR東日本やJR東海には金が落ちる。その金額は2〜3兆円にもなり、まさに「金のなり木だ」。一方、需要の少ないところではいかに身を切る努力をしても経営が成り立たない。
JR各社と大手私鉄の鉄道ビジネスを俯瞰的に見渡しながら、儲けの仕組みを解き明かす。
2019年9月30日発売
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辞令とともにさようなら

「鉄道業界の舞台裏」では、私の勤務経験を元に、鉄道業界の実態を紹介してきた。
その多くはシニカルで、これから就職しようという人に、ちょっと冷や水を浴びせかける内容だったかもしれない。
今回は珍しく、大手鉄道会社の良いところ紹介しよう。

鉄道会社の社員は、基本的にゼネラリストの道を歩む。系統をまたぐことはないが、同じ系統の中では異動を繰り返す。
車両のメンテナンスに関わる人も、メンテナンス現場だけでなく、指令に異動し、支社のような非現業部門にも異動する。時に出向することもある。
ちなみに、これは何も大卒総合職に限った話ではない。異動する範囲が支社内だったり、頻度が少なかったりするものの、異動はいわゆる現場採用の人でも発生する。

車両のメンテナンスの人も、車両の運用、本線で発生する車両トラブルへの処置、現場に通達を出す支社業務など、広く知っておくべきだ、という考えなのである。
(かと言って、乗務員や駅員になることはないし、同じ技術系でも、土木・保線系、電気系になることもない。)

どんな仕事でも数年も経験すれば飽きてくる。そういう意味で、定期的に異動があるのは組織にとっても刺激になって良い。
もちろん、異動する本人にとっては、嫌な異動もある。車両メンテナンスの現場でフォークリフトや玉掛のスペシャリストだった人が、望まぬ異動で、指令に行って電話を相手にする仕事になったり、非現業でパソコンを使う仕事になったのでは、あまりにもかわいそうである。

 「遅刻厳禁(1)」
 http://railman.seesaa.net/article/7063995.html

しかし、出世には異動を伴う。現場の助役になるのも、同じ現場の中で主任から昇進するのではなく、一度非現業の職場に異動して助役試験に合格してから、現場に助役となって返り咲く。
同じ仲間だった人が、ある日突然管理職になるよりも、一旦外に出て、偉くなって帰ってきた方が、周りは受け入れやすいのだ。

そのため、一般社員よりも役職につく人の方が異動は多い。裏を返せば、嫌な上司でも数年待てばお別れすることができるのである。

実際に異動が発令される前に噂が流れる。

「そろそろウチの駅長も異動になるなぁー。」

「グチグチうるさいヤツだったから、さっさといなくなって欲しいな。」

「次に誰が来るかが問題だぞ。」

「あんまり思い当たらないけど、大卒の若いのがポッと来るんじゃないか。」

自分が辞令一枚で将棋の駒のように扱われるのはたまらない。

 「大卒総合職の配属先(1)」 
 http://railman.seesaa.net/article/16790179.html
 「大卒総合職の配属先(2)」 
 http://railman.seesaa.net/article/17394815.html

しかし、嫌な人には飛んでいって欲しいものだ。
現場で働いている人にとっては、他の現場や非現業の職場なんて、ほとんど関わりがない所。まして他支社ともなれば、別会社のようなものである。
異動で現場から出て行ってくれれば、もう消えてくれたようなものだ。
嫌な人ともずっと一緒に働き続ける中小企業。それよりは、上司がどんどん入れ替わり、数年間の腰掛け親分に担ぐ大手鉄道の方が、よっぽど楽である。



posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 23:25 | Comment(4) | TrackBack(0) | 鉄道会社の知られざる社風 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして!
美紀といいます。
この度ブログを始めたので挨拶で
コメントさせて頂きました。

私のブログは競艇やギャンブルが主になっちゃうと
思いますが日常の事もいろいろ書いていくので
よかったらコメントください☆

http://ameblo.jp/boat-gals/
Posted by みき at 2009年09月01日 15:31
総合(基幹)職採用以外では現在概ね大卒現業(将来幹部登用)採用(ある程度HPや情報が豊富)と高卒採用(学校推薦のため情報希薄)です。
いずれにせよ、学力は平均水準以上を求められます、あと協調性とかも。
運輸職でも技術職でもある特定、判りやすいのは運輸で説明致しますと駅員、車掌運転士、幹部登竜門の助役とそれぞれ試験があります。
大卒の場合、幹部登用なのでほぼ強制的に受験となりますから、現業部門にいたいなら高卒採用がベストです。
それでも最近は高卒の処遇も変遷があり、希望通りにはいきません。
大卒総合職〜高卒でも幹部から出向組迄幅広くあるので転勤もメーカー程はありませんが、運輸の運転部門(運転士・車掌)なら少ないというか皆無に近いので地元では高卒採用運輸運転部門が最適です。
また会社から、技術部門だと高卒対象で実力試験にて、昔は国鉄や大手民鉄なら鉄道学園とか夜学の自治体の専門学校で勉強出来たのでいい仕事という意味では、私のような昔の昭和世代(団塊ジュニア)の頃はよかったです。
鉄道業はマニア(本業の鉄道は元よりクルマ・バイク・釣りとか趣味に拘る)が多く、お酒の付き合いも自身が運転業務に携わっているから限度をわきまえ楽しい職場です。
男(私は男性です)ばかりで、最近は女性も採用していますが、女性がほぼいない時代採用の私から言えば男性ばかりの気楽な気さくな職場が鉄道業で、そのゆとりがお客様対応にも適切であると私は考えます。
鉄道業の特に現業や地域の事務所ではかえって、女性がいるということで気を遣いあまり個人的にはよろしくないと1/4世紀ここで生計を立てていた人間からすれば、しんどいだろうね。
Posted by ちゃま at 2016年07月25日 09:04
昔は鉄道業は技術理論の確保に非常に熱心でしたね。技術職は国鉄なら独自の鉄道学園、関西民鉄は大阪商工会の研究施設があって鉄道業だけでなく大ガスとか関西民鉄も全てという夜学高専がありました。
これらは技術部門に特定されたものですが、公費で賄っていることは変わらず、現在全てありません。
私は商工の高専クラス電気工学科を卒業して、もう中年も半分経過したおっさんの意見ですから現在の方には参考にならないかもしれません。
私は、これら高専クラスの学術と国家資格を認定ではなくストレートで一発合格しています、電験3種も自己採点90点以上を確保し、工事士も1・2種試験一発合格です。
認定合格は私に言わせりゃ、パチモノのエセもので役にたたへん。
科目制度は、電験以外でも税理士とかでありますが、これはもう体力が衰えてしまった方用と認識しています。
鉄道はお客様を安全・快適・迅速かつ楽しんでもらう移動手段です、ですから体力・実力とチームワーク(泥臭いけど重要です、昔は自炊でメニューや味噌汁の出来を当番は競っていました、それはコーヒーブレイクでもこの先輩今日何が飲みたいのかな?と、よし!当ててやろうとチャレンジしたものです)が大切ですね。
Posted by ちゃま at 2016年07月25日 10:12
昔は鉄道業は技術理論の確保に非常に熱心でしたね、技術職は国鉄なら独自の鉄道学園、関西民鉄は大阪商工会の研究施設があって鉄道業だけでなく大ガスとか関西民鉄も全てという夜学高専がありました。
世界のトヨタや松下は中卒から自社の学校に入れる制度があり、現在自衛隊でも陸自(専門外なので間違っていればゴメンナサイ)は砲術科において、その制度を採用しています
これらは技術部門に特定されたものですが、公費で賄っていることは変わらず、現在全てありません。
私は商工の高専クラス電気工学科を卒業して、もう中年も半分経過したおっさんの意見ですから現在の方には参考にならないかもしれません。
私は、これら高専クラスの学術と国家資格を認定ではなくストレートで一発合格しています、電験3種も自己採点90点以上を確保し、工事士も1・2種試験一発合格です。
(正確には工事士旧基準で2種→電気工事士、1種→高圧・この年の電気工事士の問題実技は奇問ではないが理論を理解していないと解けなかった)
認定合格は私に言わせりゃ、パチモノのエセもので役にたたへん。
科目制度は、電験以外でも税理士とかでありますが、これはもう体力が衰えてしまった方用と認識しています。
鉄道はお客様を安全・快適・迅速かつ楽しんでもらう移動手段です、ですから体力・実力とチームワーク(泥臭いけど重要です、昔は自炊でメニューや味噌汁の出来を当番は競っていました、それはコーヒーブレイクでもこの先輩今日何が飲みたいのかな?と、よし!当ててやろうとチャレンジしたものです)が大切ですね。
Posted by ちゃま at 2016年07月25日 10:36
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