鉄道電話(JR電話)とNTTの電話(2)

 「明暗分かれる鉄道ビジネス」

佐藤 充 4年ぶりの書き下ろし!
沿線に住民がいる限り、あるいは東京~大阪を移動する人がいる限り、JR東日本やJR東海には金が落ちる。その金額は2〜3兆円にもなり、まさに「金のなり木だ」。一方、需要の少ないところではいかに身を切る努力をしても経営が成り立たない。
JR各社と大手私鉄の鉄道ビジネスを俯瞰的に見渡しながら、儲けの仕組みを解き明かす。
2019年9月30日発売
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鉄道電話(JR電話)とNTTの電話(2)

JRには、国鉄以来の専用の電話網がある。通称、鉄電。
鉄電が業務上の電話網であり、NTTの電話はおまけのような存在である。

おまけでも、NTT電話は外部とつながっているので、とんでもない電話がかかってくることがある。

ある日、駅のNTT電話が鳴った。

プルルル、プルルル。

(ん?)

助役は、面倒くさい気持ちを抑えて、受話器に手を伸ばした。

駅にかかってくるNTTの電話は、だいたい一般のお客さまからの問い合わせであり、業務連絡ではない。あまり積極的な気分では取れないのである。

「はい、○○駅です。」

「・・・」

「もしもし?」

「・・・」

(まったく、いったいなんだ?・・・電話に出なければ良かった。)

別に電話に出なくても、この助役は困らないのである。
お客さまは無数いるわけだし、そのうちの一人からの電話を無視したところで直接的な影響はない。業務多忙で電話に出られなかったという言い訳も通用する。

「もしもし?ご用件は何でしょう?」

「・・・、爆弾を仕掛けた。」

「は?何を言っているのですか?」

「快速線の車両に爆弾をしかけた。」

「え?もしもし?」

ガチャリ。
電話が切れる。

(阿呆か。面倒くさい。)

電車の爆破予告の電話だが、本当に爆弾をしかけたとは思えない。
まったく信じないが、こういう電話を受け取った以上、無視するわけにもいかない。

「えーっと、時間は・・・。」

鉄道マンの習い性で、何かあったら時間を書き留める。
時間と電話の内容を控え、すぐさま駅長と支社に報告。もちろん、報告時刻も書き留める。あとで報告書を提出するためだ。

報告を受けた支社も動き出す。
狼少年の嘘に何回騙されても、本当に狼が出たときに何も対応しなかったら、その一点をつかれて会社は世間から批判される。何回でも嘘に付き合わなければいけないのだ。
いたずら電話でも出動しなければならないのは、消防署や警察署と同じである。

鉄道のNTT電話には、こういう寂しい電話がときどきかかってくる。
それだけ、私たちの住む街には、孤立した寂しい人たちが息づいているのである。



posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 09:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道会社の裏事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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