鉄道マニアと採用(2)

 「誰も語りたがらない 鉄道の裏面史」

佐藤 充 5年ぶりの書き下ろし!
107 名の死者を出した「福知山線脱線事故」、政治家の思惑がからみあう「新幹線の利権」、鉄道が買われる「阪神電鉄村上ファンド買収事件」、東京を襲った未曾有のテロ「地下鉄サリン事件」、首都圏で起こった乗客の暴動「上尾事件」、初代国鉄総裁の謎の死「下山事件」……
2015年5月15日発売
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鉄道マニアと採用(2)

以前書いたが、鉄道会社の採用では、鉄道マニアは好意的に評価されないことが多い。
鉄道マニアとしての思いと、会社の施策が相容れない場合があるからである。

「鉄道マニアと採用(1)」http://railman.seesaa.net/article/5491130.html

会社は、情よりも銭勘定を優先せざるを得ない。
マニアに愛された往年の車両でも、メンテナンスに人手がかかり、故障の多い車両なら、廃車にして経年の浅い車両に置き換える。

「さよなら○○系」なんてヘッドマークをつけた電車に乗って、涙を流すような人に新車の投入計画をやらせられないだろう。


それでは、鉄道会社の社員に鉄道マニアはいないのか。
そんなことはない。それなりにいる。超巨大なヒエラルキーの頂点である本社役員にも鉄道マニアがいる。

話はそれるが、日産のゴーンさんは「カーキチ」(熱烈な車好き)で、自ら発売前の車をサーキットで走らせたことがある。
車を作る人が車好きでないと、売れる車はできない。そんな思いで、日産社員を鼓舞した。

その反面、鉄道ではマニアと一般人で客単価の違いはほとんどなく、嗜好性の追求が顧客満足度をあげるものではない。

社内でも、「社員よ、鉄道マニアたれ!」なんて風潮はまったくなく、マニアであることを公表しても、損することはあっても、得することは少ない。
本社役員ですら、マニアであることを自ら吹聴することはなく、公然の秘密にする。

しかし、そこは縦社会の鉄道会社。
偉い人が鉄道マニアならば、周りは知らない振りをして、その人のマニア心を満たすために色々世話をやく。

例えば、廃線になるローカル線があるとする。鉄道マニアはこういうニュースに敏感だ。
マニアの役員の取り巻きは、このいうニュースを仕入れれば、役員を廃線直前のローカル線に乗せるように手配する。

手段はいくらでもあるのだ。
そのローカル線の近くに自社のエリアあれば、現場や支社への出張をつくる。
無事故で問題が発生しない静かな現場ならば、表彰の口実を探す。
事故を発生させている現場ならば、事故防止の監査目的で視察に行く。
自社のエリアでないときには、近くのメーカーに工場視察に行く。

夜は懇親会を入れて1泊させれば、翌日は廃止になるローカル線に乗せられる。

「これで点数を稼げた」とほくそえむ取り巻き。
犬のように忠実な取り巻きに囲まれ、マニア心を満たして子供のようにはしゃぐ本社役員。
内々の論理で、時間とエネルギーを費やす。
不思議な世界である。

posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 21:09 | Comment(8) | TrackBack(0) | 愛すべき「鉄道マニア」様 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんというか、全体的に内向きのことにエネルギーを使いすぎな気がします。

わかりやすい一例をあげましょう。

「お客さま第一」を掲げているにも関わらず、
ホームに立っている駅員はネクタイをしていなかったりします。

その是非はここでは論じません。

しかし、会社の規定上、真夏であれば(冷房が効かない場所限定ですが)
ネクタイ非着用は公式に認められています。


一方で、会社内部で稟議書の持ち回りを行う際、
長袖白ワイシャツに地味なネクタイ、
当然上着も着用で「お伺い」しないと
サインをしないというおエラ方が実在するのです。


どう思われますか?
Posted by 現職 at 2006年09月11日 20:00
現職さん

>全体的に内向きのことにエネルギーを使いすぎな気がします。

まったく同感です。
お客様の方を向いてではなく、偉い人の方を向いて仕事をする
ことが多い世界だと思います。
私には、その辺の理不尽さが納得できませんでした。
Posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 2006年09月11日 23:40
疑問に思ったのですが、「マニア」の役員さんが廃線間際の路線に乗りに行くとき、どんな思いをするんでしょうね。「嬉しい」んでしょうか…。


もし私なら悔しい思いをしながら乗ると思います。
ここの路線を残せなかったのか・・・と。経営を両立させながら・・・
またひとつ大事な鉄道のネットワークが崩壊するのか…と。
特に遠くから来るものにとって、線路がないともう来れないです…。

今回は廃線前の話を例に出していましたが、これに限らず内向きにエネルギーを使う(使いすぎる)雰囲気があるんですね……
なんともいえないです
Posted by dfh at 2007年09月11日 16:42
はじめまして。ずっと読ませていただいた者です。
多くのコメンテーターの方が言われているように、マニアかそうでないかということが採否に関係する、というのはわかります。ただ、わたしの考えは少し違います。

鉄道業界じゃなきゃ嫌、というのは、それ以外の仕事は嫌だということになります。仕事の選り好みをする人が、社会人としてやっていけるのか。

マニアかどうかと言うより、仕事をする気があるのかどうかを見られていると思います。
Posted by あんときの鉄乙女 at 2009年09月17日 22:33
あんときの鉄乙女さん

厳しいご意見ですね・・・。
多少は業界に思い入れがないと、モチベーションが心配になりますけどね。
Posted by 鉄道業界の舞台裏 at 2009年09月18日 08:42
運営者さんへ
ありがとうございました。ある時点から、鉄道の仕事が好きになっていれば、宿泊を伴う不規則な毎日をこなせるでしょうし、しつこく残る女子への会社内外の特別な視線を跳ね返すのも簡単かもしれません。わたしの意見は、長く詳しいコメントをなさっていたvia
さんに近いと思います。

わたしが疑問なのは、どうして採用面接なのに、趣味や憧れの延長で得た知識とかゴシッフ゜をしゃべるのでしょうかってことです。鉄道の仕事自体と関連していないことを話しても、自分の持ち味を鉄道でいかしたいというアピールにはならないと思います。


入社案内で、イケメンさんや別嬪さんの新入社員が、鉄道の制服が格好良かったとか言っています。でも、それはほんのきっかけで、
やはり、自分なりに、社会にあるいろんな職業を比較しなくては、長い間勤めることにつながる志望動機は語れないのではないでしょうか。





Posted by あんときの鉄乙女 at 2009年09月18日 19:45
またまた気分を害されるかもしれません。しかし、
マニアを採用しろ、とまでは思わないのですが、鉄道や乗り物が好きな人、交通に興味のある人、そういう人の情熱というか才能というか、そういうのを活かせるような方向で物事を考えることができない業界なのかなと思ってしまいました。日産の話だとカーキチの情熱みたいなものが活かされている面もあるのに。そう思うともったいないなという気分になります。

個人的には、一連のマニア記事を読んでいたら、「コミュニケーション」等に関する部分であれこれ言われているのかと感じました。

「鉄道マニア」に関しては、「鉄道業界への就職」以外の自分のことにも絡んでいるのでこのことを考えるとやり切れない思いになります。
Posted by 酸っぱいぶどう at 2010年05月25日 14:43
空気読めないコメントかもしれませんが、

この記事は「人員の採用」に関するものなのですか??

ところで、
私は鉄道とは関係のない仕事(非正規…)を続けていますが、段々と鉄道業には向いてないなと思えてくることがいくつもありました。

・車通勤でも危ない運転(これじゃ鉄道に限らずどの業種職種にも言えるのだが…)
・現場作業でも「危ない」と思えること多数。自分は現場の安全ルールを守っているだろうか?
鉄道の現場のほうがもっと危険な要素があるかもしれない、と思うと自分の行動を振り返ると恐ろしい。

コミュニケーション力の不足。トラブルがあってもうまく自分の意見を伝えたりとかに苦手意識がある。「B to C」の「Cの客」と関わらなくてもいい職種でさえ、ある程度のコミュニケーション力は要るはずなのに、このありさま。

これだと鉄道業界に限らず、どの業界でも厳しいなと自分でも思う。だからこそ嫌になる。そして、今の仕事に不安や不満があってもなかなか転職しようとしない。仕事ができるだけありがたい、続いているだけありがたいと思わねばならない。
Posted by 酸っぱいぶどうと思わねばならない at 2011年12月04日 00:27
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