労働組合の基礎知識(1)

 「誰も語りたがらない 鉄道の裏面史」

佐藤 充 5年ぶりの書き下ろし!
107 名の死者を出した「福知山線脱線事故」、政治家の思惑がからみあう「新幹線の利権」、鉄道が買われる「阪神電鉄村上ファンド買収事件」、東京を襲った未曾有のテロ「地下鉄サリン事件」、首都圏で起こった乗客の暴動「上尾事件」、初代国鉄総裁の謎の死「下山事件」……
2015年5月15日発売
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労働組合の基礎知識(1)

「団結ようーい!」

労働組合幹部の野太い掛け声を合図に、会場の人々は左手は腰、右手はこぶしにして肩の横に引き絞った。

日曜、月曜と続いた労働組合の大会の締めくくり。

会場には、国鉄を知るベテラン社員も、平成採用の若手も、普段はかわいらしい制服に身を包む旅行業の女子社員もいる。

「団結がんばろー!」

壇上の幹部が叫ぶと、会場も

「がんばろー」

と声を合わせながらこぶしを突き出す。
場内が掛け声でうなりをあげた。

ここはホテルの宴会場。
普段は結婚式の披露宴などに使われるのだろうが、この日は、一面に組合の旗が張られ、壇上には鉢巻を締めた人がひしめき合い、労働組合一色になっていた。


鉄道業界の核には、労使がある。


鉄道業界に入る以上、労働組合と無縁でいられる人など一人もいない。
良くも悪くもだ。

「わたしは大卒で入社するから、労働組合なんて関係ないでしょ?」

「労使問題なんて今もあるの?」

インターネットの掲示板には、こんな書き込みが見られる。

無理もないと思う。
筆者も含め、入社前に労働組合に精通している人などいないだろう。
入社して、初めて知る世界だ。


しかし、鉄道業界と言えば労働組合なのだ。


大卒、高卒など関係ない。

若い頃は組合側、偉くなったら会社側と、立場が変わることはあるが、無縁になることなどない。
ちなみに、管理職もある一線を越えるまでは組合員である。


現業部門の配属、管理部門の配属、それも関係ない。

逆に管理部門に配属されている時の方が、組合活動を一生懸命やらなければならないこともある。

管理部門の配属となって、「あいつらは会社側の人間、現場の敵」と現場から見られてはいけないので、現場配属のとき以上に誠意をみせなければならない。


業務上は、総務・人事部門ではなければ関係ないか?

そんなこともまったくない。営業、技術部門だって、非現業のメイン業務は労務と言っても過言ではない。

一般の業界だと、労働組合と言えば春闘のときに思い出すぐらいの存在、というところもあるだろう。

しかしこの業界では、新しい施策はすべて組合との団交を通すので、あらゆる業種で関わってくる。

そのため、総務部だけでなく、運輸、営業、電気、保線などすべての部署に人事部門が置かれて、対組合の窓口になっている。

(こんな体制は運輸業界だけか?)


組合の存在が大きいため、人事労務の総本山になる総務部人事は出世コースで、泣く子も黙るところ。同じ課長でも人事課長は別格で、同じ部長でも総務部長は別格。


それがこの業界なのだ。


次回へ続く




「鉄道業界の舞台裏」が本になりました。

社名は絶対明かせない 鉄道業界のウラ話


posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 22:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道会社の裏事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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