国際部(1)

 「誰も語りたがらない 鉄道の裏面史」

佐藤 充 5年ぶりの書き下ろし!
107 名の死者を出した「福知山線脱線事故」、政治家の思惑がからみあう「新幹線の利権」、鉄道が買われる「阪神電鉄村上ファンド買収事件」、東京を襲った未曾有のテロ「地下鉄サリン事件」、首都圏で起こった乗客の暴動「上尾事件」、初代国鉄総裁の謎の死「下山事件」……
2015年5月15日発売
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国際部(1)

「グローバル」、小学生までもが知っている、現在を表現するキーワードの一つ。

この「グローバル化」により、国内市場ではさまざまな中国産が溢れ、またそんな中国産と競争するため、日本の若者が「ハケン」とか「ウケオイ」とかいう仕組みで低賃金で働く。
新興国の台頭が資源の需要も高め、日本のような資源輸入国が調達難で悩まされる。
さらに、海外の「ファンド」なる存在が忽然と現れ、日本企業に買収を仕掛ける。幕末の志士が聞けば、怒りで発狂しそうな話である。

各国で市場開放が進み、世界全体が一つの市場へと統合性を高めることで、国内市場が海外市場と一体で連動し、上記のような今までにない色々な変化が発生している。

「やっぱりグローバルな時代でしょ、英語ぐらいできないと駄目だよ。」

「東証で投資しているだけじゃ儲からないよ。グローバルな時代だから、BRICs、VISTAに投資しないと。」

巷でもこんな会話が聞かれるような時代である。

その中で、グローバルとは対極にありそうな鉄道会社。
都市からムラまで広大な土地を国内に持ち、お客様は地元の人々、線路は国境を越えて延びることはなく、完全に国内市場だけで勝負している会社である。
しかし、そんな鉄道会社でも「国際部」なる部署を持っているところがある。やはりグローバルな時代だからか?

その答えを書くのは少し待って、それよりもこの名前に引き寄せられる人々に注目しよう。

これから就職活動をする後輩と、社会人になった先輩が、飲みながら仕事について語り合っている場を想像して欲しい。
商社、プラントエンジニアリング、メーカー(の生産技術部門)などの業界に就職して、アジアに羽ばたいた先輩たちが

「DVDは中国で海賊版をついつい買っちゃうんだよねー。悪いとは知りつつ。」

「上海に出張するとき、どこのホテル使っている?」

と、こんな会話をすれば、鉄道会社を志望する後輩は気後れを感じる。

「自分の就職志望先は鉄道会社。当然海外には縁がないよな・・・」

鉄道会社への就職が時代の潮流に反しているように思えて、気持ちが揺らぐのだ。

しかし、後輩が自宅に戻って鉄道会社の就職用パンフレットを見ると、組織図の中に「国際部」があり、その配下に海外駐在事務所があること、さらには、海外留学制度まで整備されていることを発見すると、心配は吹っ飛び、心は踊る。

「やっぱり”グローバル”の時代だなー。国内の地を這うような鉄道会社でも、海外で勉強できて、国際的な仕事まであるのか。」

(ちなみに、筆者も就職前に少し期待した。)

さらに採用面接で、面接官から

「英検○級もっているのかね。これからは海外の仕事もあるから、ぜひ生かしてくれ。」

などと言われれば、期待に火がつくというものだ。

果たして鉄道会社に就職して、国際的に働くことなどあるのか?冷静に考えれば当然沸いてくる疑問だが、せっかく絞り込んだ就職志望先を、また考え直すのは相当大変なことである。沸いてくる疑念には蓋をして、パンフレットや面接官の言葉を希望にして、突進するのみだ。走り出してしまえば、容易に方向を変えられない。

期待して入社した若者を待ち受ける「国際部」とはどんな部署か。
話が途中で申し訳ないが、その実態の紹介は次回に譲るとしよう。

posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 23:55 | Comment(3) | TrackBack(0) | 就職の現場(非現業編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
国際部って、たまに海外で鉄道事故があると、それに関する新聞の切り抜きをやってるところですよね。少なくとも、学生が「国際部」っていう部門の響きから想像するような仕事はしていないはず。あとは、海外に遊びに行くおエラ方のためにいろいろとセッティングする、とか。
Posted by 現職 at 2007年09月05日 08:13
現職さん

今月私が書こうとしていたことを、先に書かれてしまいました(笑)
入社して現実を知り、がっかりする部署の一つですね。
Posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 2007年09月06日 20:39
JR東や海だと海外からその国の国鉄関係者とか来たりしてますがあれはどうなんですか?
Posted by 交通新聞参照 at 2007年09月11日 12:23
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