国会議員の圧力

 「誰も語りたがらない 鉄道の裏面史」

佐藤 充 5年ぶりの書き下ろし!
107 名の死者を出した「福知山線脱線事故」、政治家の思惑がからみあう「新幹線の利権」、鉄道が買われる「阪神電鉄村上ファンド買収事件」、東京を襲った未曾有のテロ「地下鉄サリン事件」、首都圏で起こった乗客の暴動「上尾事件」、初代国鉄総裁の謎の死「下山事件」……
2015年5月15日発売
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国会議員の圧力

衆議院選挙がまもなく(8月30日)公示される。
(この記事は2005年8月に書きました。)

今回の選挙では、郵政民営化反対派の新党や、自民党執行部が送り込んだ「刺客」、ホリエモンの出馬と、話題が多い。

新聞でも、郵政に対する各党の違いが取り上げられ、次いで年金、少子化対策、財政、外交についての分析があり、毎日紙面も賑やか。


比例区投票は、このような各党の政策だけに注目すればいいが、小選挙区では候補者個人に投票しなければならない。そのため、候補者個人の公約も気になるところだ。
しかし、変な公約が掲げられていることがある。


前置きが長くなった。

筆者が言う「変な公約」とは、

・○○線の電車を増発します。

のようなもの。

これは過去の衆議院選挙のとき、(筆者が住んでいた選挙区で)閣僚経験者が掲げた公約である。

まったく信じられない。国鉄ではないのである。国会議員がなんで民間企業の施策を公約に掲げるのだ?
これでは、

「私が当選したら、100円のマックシェイクを80円にしてみせます。」

と言っているようなものだ。
私企業がどのような施策をとればいいかなど、国会で議論されるわけがないし、国会議員が企業に圧力をかけたところでどうなるわけでもない。
(そこまで日本はひどくない。)

民間の鉄道会社に対して国会議員ができることといえば、鉄道を活性化させる法案を成立させることぐらいだろう。
しかしそれは鉄道全体に対するもので、特定の鉄道会社の、特定の線区を支援するような法案などできるわけがない。


また、国会議員の「実績」も眉に唾をつけて見て欲しい。

・△△駅の快速電車停車を実現しました。

などと勝手に掲げたりするが、それがこの候補者の実績かどうか。

住宅開発が進んで利用客が増えている駅では、鉄道会社が戦略的に快速電車を止めもする。また、自治体が駅周辺開発を行い、鉄道会社が快速を止め、協働で発展に取り組むこともある。
ただ、どちらも(基本的に)国会議員が関与するものではない。


勝手な「公約」、勝手な「実績」で鉄道会社を利用するだけでなく、圧力まがいのことをする議員もいる。

鉄道会社の運輸部長に直接電話をかけ

「○○線、もっと本数を増やせないか。周辺住民は困っているんだよ。」

とおっしゃる。

「はい、お客様の声に答えるべく、日々努力いたしております。」

鉄道のドロドロした世界を生き抜いてきた運輸部長は、卒なく答える。


地元の要望に答える場合は、採算に合わない部分は、無利子の貸付、補助金などで自治体などに協力してもらって実現しているのだ。
「経営」と、採算外の「公的な使命」と、社会として財布をしっかり分けなければならない。
「公的な使命」を実現するためにどれだけの「税金という痛み」を伴っているかを有権者が認識しないと、その必要性も判断できない。


お客様の声をなるべく活かすように努力するのは健全な経営。しかし、票目当ての国会議員の圧力に屈した経営では、鉄道会社は国鉄のように破滅する。破滅すれば、最後に国民にそのツケがまわってくることにもなりかねないのだ。

さあ、よく考えて9月11日に投票に行こう。

posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 11:13 | Comment(3) | TrackBack(0) | 鉄道会社の裏事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一度に多くのコメントさせて頂いており、恐縮です。こんな私ですが、鉄道の価値・特性、社会的役割についてはいろいろと思うことがあるので。そういうことばかり考えているという意味で「立派なオタ」です・・。

私の地元の駅も2001年から快速が停まるようになったのですが、そのときある国会議員が盛んに快速を停めた「実績」を強調していたのを思い出しました。そのとき私は高校生でしたが、その議員のそういうところを見ていぶかしく思っていました、本当に。なんでJRに「圧力」かけるんだろうこの議員は!圧力かけられてJRがかわいそうだ、いう印象を持ちました。

確かに快速が停まってくれることは非常にありがたいことだったのですが、その議員の「実績」には疑問符を付けました。

鉄道全体の活性化を図る法案の話をされていましたが、私としてはそのような法案の成立を強く願うところです。

議員の圧力、マニアと採用の『個別の』ダイヤだけを延々と話した受験者、どちらも「視野の狭さ」というものがあるように思うのです。この点について鉄道業界舞台裏の目撃者さんはどう思われますか?

Posted by dfh at 2008年01月14日 02:01
dfhさん

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

たくさんの書き込みありがとうございました。
国会議員の実績で「快速の停車」っていうのは怪しいですね。
生活に密着しているので、選挙のときにアピールする実績と
しては最適なんでしょうけど、議員の圧力で実現するものでは
ないですからね。

ご指名に対するコメントにはなっていませんが、これからも
よろしくお願いします。
Posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 2008年01月14日 19:14
私も優等列車の停車は、圧力で実現するようなものではないと感じます。

鉄道の活性化などに必要なのは、
市民や議員なども鉄道の特性や価値・役割などに関心を持ち、適切な理解や考えを持つこと
だと考えます。言うのは簡単ですが・・。

その例として、
JR西日本の姫新線を採り上げてみます。この路線は非電化のままで高速化事業を行っているようです。

ここで申し上げたいことを他のサイトからの引用で申し上げます。↓↓
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電化ではなく高性能気動車の導入と軌道の強化という選択を行った関係者は、現在の鉄道技術にそれなりに詳しい人が係わっていたのではないかと推察されます。国も地方も大きな借金を抱えている今、投下される資金に対して地元の意向をそのまま取り入れるのではなく、できるだけ最小の資本で最大の効果が発揮できるよう計画を立てていくことが要求されていますが、今回のこの決定はそうした流れを汲む中で、加古川線の高速化(←電化)と比べて内容的には上を行くものであると思われます。
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これはgoogleで「姫新線 高速化」と検索して、一番目のサイトから引用させていただいたものです。その通りだと思いました。理想論かもしれませんが、「物事には適切なやり方で行う」。このようなことはどんな分野にも求められると思います。
Posted by dfh at 2008年01月25日 13:36
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