世界で一番時間に正確な日本の鉄道。
(
「定刻発車」)
鉄道会社も時間には厳しく、特に遅刻には厳しい。
出勤時間に遅れることを、鉄道の世界では「出勤遅延」と呼ぶ。
一度でも出勤遅延をすれば、人事の閻魔帳に記録され、それを一生背負って生きることになる。
大げさに言っているわけではない。たった一度の出勤遅延でも、人事はおろか、周りの社員の記憶からも消えない。
例えば、できる人が昇進できず、さえない人が昇進したとする。(どこの会社でもある話だが。) 周囲は納得できずにいぶかるが、
「あの人は昔、出勤遅延をやったんだよ。」
という解説が流布されると、とたんに納得してしまう。(本当の理由は分からないが。)
それだけ出勤遅延はこの世界では重罪であり、「不祥事」とも表現される。
ちなみに、「朝寝坊したらその日は年休(有給休暇)にする」というサラリーマンの定番手法は通用しない。(特に現場は厳しい。)
労務管理をどこよりもしっかりやっている業界なので、「年休は事前に上長に申請する」という原則が厳しく守られており、突然の年休は「突発年休」として区別される。
その場合、処方された薬など、本当に体調が悪かったことを自ら証明しなければならず、また証明できたとしても「突発年休をした」という記録は消えない。
「出勤遅延」がレッドカードなら、「突発年休」はイエローカード。「突発年休」を何回かやると、人事査定に影響する。
これだけ厳しいので、現場では(特に車通勤の人は)1時間半とか2時間前に出勤する人がいる。
おかしな話だ。
会社に敵愾心を持ち、寸分も残業をせず、勤務終了のチャイムとともに風呂に直行したり、逃げるように職場を出て行くのに、朝だけは異常に早いのだ。
このように、早く出勤するのが習慣になっている現場のおじさんはいい。
筆者の知人は、現場から支社に抜擢され、
「絶対に不祥事は起こせない」
とプレッシャーを感じてしまい、眠りが浅くなって早くに目が覚め、2時間前には出社してしまう人がいた。
かわいそうに、これでは精神的に危うい。
余談だが、この人の転勤は自分から望んだものではなく、人事が良かれと思って勝手にやったこと。人を将棋の駒のように動かせる人事だが、適材適所でないと悲劇を生む。
現場のエキスパートを引っ張り出して、パソコンを使う仕事をやらせ、その結果がノイローゼ。
さらにかわいそうなことに、支社に行った人は管理職になって現場に戻るのが通例。この人も、管理職試験に合格するか、本当に病気になって脱落するか、どちらかでないと現場に戻れない。
残念ながら、後者になる確率が高い。
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 21:04
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鉄道会社の知られざる社風
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大変でしたね・・・。やっぱり時系列とか取られました?指導も受けたのでしょうか。
努力の方向性が間違ってんだよいつもバカ