鉄輪

 「誰も語りたがらない 鉄道の裏面史」

佐藤 充 5年ぶりの書き下ろし!
107 名の死者を出した「福知山線脱線事故」、政治家の思惑がからみあう「新幹線の利権」、鉄道が買われる「阪神電鉄村上ファンド買収事件」、東京を襲った未曾有のテロ「地下鉄サリン事件」、首都圏で起こった乗客の暴動「上尾事件」、初代国鉄総裁の謎の死「下山事件」……
2015年5月15日発売

鉄輪

今回は鉄道の雑学を紹介することにしよう。

鉄道というのはその名の通り、鉄製の線路の上を鉄製の車輪が走る乗り物である。
アスファルトの上をゴムの車輪が走る自動車とは、色々な点で大きく異なる。

何が一番異なるかといえば、摩擦。
自動車の場合は摩擦が強いので、強い加速・減速ができるが、逆に常にアクセルを踏み続けないとすぐにスピードが落ちてしまう。
鉄道の場合は、加速・減速は非常に悪いものの、一度速度が出てしまえば、後は惰性で走る。
「昼下がりの運転台」

車の感覚からすると非常に不思議だが、駅間を惰性で走っている列車は、エネルギーを消費しないで移動しているのだ。
(中学・高校の物理を思い出しますね。ニュートンの慣性の法則ですよ。)


摩擦が少ない鉄道では、非常ブレーキなどを使うと、車輪がロックしてレールの上を滑ることがある。そうすると、レールに接している車輪の一部が高温になり、その部分だけ硬くなってしまう。
周りよりも硬くなってしまった部分は、ひどくなると「剥離」といって車輪から剥がれ落ち、表面が凸凹になる。

このままだとガタガタ走る車両になってしまい、乗り心地が悪くなるが、その場合どうするか?

自動車の場合、磨り減ったタイヤは溝を切りなおしたり、交換するだろう。
しかし、鉄道の車輪には、溝もないし、いちいち交換していたら大変だ。

このような場合に鉄道では、車輪の外周を削り、円を出しなおすのである。

さらに、車輪ほどではないが、レールでも同様に表面が傷んでくるので、定期的に削る。


このような乗り心地に関するところは、同じ会社でも、(安全が担保されている範囲内で)線区によってメンテナンスレベルは差別されている。

乗客数の多い線区では、かなり細やかに車輪が削られるし、ローカルだと多少ガタガタでも走らせてしまう。
車輪やレールの表面だけではない。レールの高低差・左右ずれ幅、土砂の水はけ・ノリ面補強など、すべてにおいてローカルは規定が緩く、メンテナンスに費用をかけない。

仕方がない。売上の少ないところは、かける費用も少なくなるのが経営論理だ。
ローカル線区は乗り心地も悪いし、自然災害にも弱い。
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 11:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | 人身事故・鉄道雑学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後の文でローカル線で乗り心地が悪い理由が納得した気分になりました、
たしかにJR桜井線(今は万葉まほろば線って言うニックネームがついているらしい)の高田〜天理間を103系改造の105系に初めての乗車でわくわくしながら乗車したのですが(普段は近鉄線利用)なんでしょうね・・列車が遅れていたのかバンバン飛ばしてくれるのですよねおかげで電車が暴れること・・
国鉄時代のキハ35などのときは振動など気にならなかったのですけどね^^;
ちなみに復路は天理から近鉄線で帰宅したのでした・・
Posted by とうこ at 2013年04月18日 08:01
とうこさん

書き込みありがとうございます。
古くて重たい車両が暴れましたか。鋼鉄製のバネだから、余計にズンズンと揺れたのですかね。
Posted by 佐藤充 at 2013年04月18日 09:12
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