就職前の鉄道会社分析(1)

 「明暗分かれる鉄道ビジネス」

佐藤 充 4年ぶりの書き下ろし!
沿線に住民がいる限り、あるいは東京~大阪を移動する人がいる限り、JR東日本やJR東海には金が落ちる。その金額は2〜3兆円にもなり、まさに「金のなり木だ」。一方、需要の少ないところではいかに身を切る努力をしても経営が成り立たない。
JR各社と大手私鉄の鉄道ビジネスを俯瞰的に見渡しながら、儲けの仕組みを解き明かす。
2019年9月30日発売
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就職前の鉄道会社分析(1)

この時期、企業は中間決算のシーズンを迎える。

決算資料は、就職先の会社を知る貴重な資料にもなるので、今回はこれらをもとに会社比較をしてみよう。

※最新の中間決算ではなく、昨年度の年度末決算を取り上げる。
(この記事は2005年11月に書きました)

まずは売上高。関係会社を含めた1年間の売上である。

 売上高(百万円)連結
  JR東日本 2,537,480 *************************
  JR東海_ 1,409,497 **************
  JR西日本 1,220,847 ************
  近鉄__ 1,106,324 ***********
  名鉄__  790,828 ********
  東武鉄道  637,364 ******

  日本航空 2,129,876 *********************
  全日空_ 1,292,813 *************

「会社の大きさ」を示す数字はいくつかあるが、これがその典型。これがないと事業は始まらない。

数字を比較してみると、同じJRでも東日本が西日本の倍、東海の1.8倍で、圧倒的な差がある。東海と東日本は同じような会社という印象があるが、実態は異なる。
さらに、航空各社と比べても、JR東日本の大きさは際立っている。

ちなみに、私鉄でも近鉄はJR西日本と肩をならべる。旧国鉄の威光で「JR」というと大きく見えるが、近鉄だけは肉薄している。

 経常利益(百万円)連結
  JR東日本 212,339 *********************
  JR東海_ 142,396 **************
  JR西日本  95,933 **********
  近鉄__  43,638 *****
  名鉄__  28,543 ***
  東武鉄道  27,532 ***

  日本航空  69,805 *******
  全日空_  65,224 *******

そして経常利益。これは文字通り「利益」だが、地震による被害のような特別な要因は排除してある。

売上高と比べて特徴的なのは、JR東海と東日本の差が縮まっていることと、民鉄、航空各社とJR各社の差が開いていること。

 売上高経常利益率
  JR東日本  8.4% ********
  JR東海_ 10.1% **********
  JR西日本  7.9% ********
  近鉄__  5.9% ******
  名鉄__  3.6% ****
  東武鉄道  4.3% ****

  日本航空  3.3% ***
  全日空_  5.0% *****

経常利益を売上高で割ってみると良く分かる。JR東海の利益率が高く、また総じてJR各社は利益率が高い。
鉄道関連事業が多い会社は、売上は大きくなるが利益率が下がり、鉄道事業でもローカルが多いと利益率が下がる。

利益率が低いということは、頑張って同じように売上を上げても、他より実入りが少なく、株主としてはうまみが少なく、事業の安全性も低いことになる。

さらに詳細な分析は、次回にゆずることにしよう。



posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 22:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道会社への就職・その他雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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