就職前の鉄道会社分析(2)

 「明暗分かれる鉄道ビジネス」

佐藤 充 4年ぶりの書き下ろし!
沿線に住民がいる限り、あるいは東京~大阪を移動する人がいる限り、JR東日本やJR東海には金が落ちる。その金額は2〜3兆円にもなり、まさに「金のなり木だ」。一方、需要の少ないところではいかに身を切る努力をしても経営が成り立たない。
JR各社と大手私鉄の鉄道ビジネスを俯瞰的に見渡しながら、儲けの仕組みを解き明かす。
2019年9月30日発売
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就職前の鉄道会社分析(2)

(前回まで)
売上はJR東日本がJR東海の1.8倍もあり圧倒的だが、売上高利益率はJR東海の高さが際立っていた。
http://railman.seesaa.net/article/9006630.html


同じJRの中でもJR東海の利益率が高いのは、新幹線の割合が高いためだと思われる。

 新幹線割合(km)
  JR東日本 6,474 1,053 14% ***********++
  JR東海_ 1,425  553 28% **+
  JR西日本 4,388  664 13% ********+
  近鉄__  574         *
  名鉄__  445         *
  東武鉄道  463         *
 ※左の数字は在来線、右が新幹線

JR東海は(路線距離を基準に)約3割が新幹線で、割合からいうとJR東日本やJR西日本の倍になる。
ちなみに、鉄道の距離数はJR東日本がJR東海の3.8倍。そういう意味ではJR東海は小さい。

 鉄道1kmあたりの売上(百万円)
  JR東日本  337 ***
  JR東海_  713 *******
  JR西日本  242 **
  近鉄__ 1,928 *******************
  名鉄__ 1,776 ******************
  東武鉄道 1,377 **************

 鉄道1kmあたりの経常利益(百万円)
  JR東日本  28.2 ***
  JR東海_  72.0 *******
  JR西日本  19.0 **
  近鉄__  114.6 ***********
  名鉄__  64.1 ******
  東武鉄道  59.5 ******

鉄道1kmあたりの売上、経常利益を見てみても、JR東海がJR東日本の倍以上で、赤字路線が少ない筋肉質な体質であることが伺える。
(ちなみに民鉄各社は、関連事業が大きいためこれらの数字が大きい。)

東京圏をもらう代わりに、赤字路線の多い東北エリアを背負ったJR東日本。
売上高は高いが利益率は低い。
東京圏はもらえなかったけど、東海道新幹線をもらい、ローカルも少ないJR東海。売上高は低くても利益率は高い。

これら2社と比べ、JR西日本は苦しい。
東京からの移動では、広島以西は飛行機に負けてしまい、関西の在来線は私鉄との競争が厳しい。鉄道1kmが生み出す利益は、他社に比べて圧倒的に少ない。

最後に、社員一人当たりの売上高、経常利益を見てみよう。

 社員一人当たりの売上高(百万円)
  JR東日本  33.9 **********
  JR東海_  60.4 ******************
  JR西日本  28.3 ********
  近鉄__  39.9 ************
  名鉄__  21.1 ******
  東武鉄道  30.1 *********

 社員一人当たりの経常利益(百万円)
  JR東日本  2.83 *********
  JR東海_  6.10 ******************
  JR西日本  2.22 *******
  近鉄__  1.57 *****
  名鉄__  0.76 ***
  東武鉄道  1.30 ****

これもJR東海がJR東日本、西日本の約2倍になった。一般に、社員一人当たりの経常利益が高ければ、社員の給料を上げる余地が大きい。
単純に比較できないが、参考までに社員の平均年齢と平均年収を記すと、JR東日本(42.9歳、682万円)、JR東海(40.0歳、721万円)、JR西日本(42.0歳、716万円)になっている。


筆者自身も、このような会社比較をしてみて驚いた。同じJRでも、思った以上に状況は異なる。これから就職する人は、ぜひ参考にしてもらいたい。



  「鉄道業界の舞台裏」が書籍化



 まずは、鉄道業界の実態を知りましょう。

 『社名は絶対明かせない 鉄道業界のウラ話』

  【目次】

  第1章 事件ばかりの鉄道の現場

  第2章 タブーだらけの鉄道の管理部門

  第3章 複雑怪奇な鉄道の人間模様




posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 21:45 | Comment(1) | TrackBack(0) | 鉄道会社への就職・その他雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。土木系専攻の学部3年の者です。
今夏鉄道系の企業のインターンシップに参加し
たいと思うのですが、高倍率のようなのででき
るだけ多くの企業に応募しようと思うのですが、
日程の重複があっても応募できるだけ応募する
べきなのでしょうか?重複してしまった場合は
書類審査(第1次選考)通過後に断ればよいのでし
ょうか?また、その場合は後に本採用時に選考上
不利になるのでしょうか?アドバイスをお願いします。
Posted by お茶の丘 at 2013年06月29日 16:31
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