以前書いたが、鉄道会社の採用では、鉄道マニアは好意的に評価されないことが多い。
鉄道マニアとしての思いと、会社の施策が相容れない場合があるからである。
「鉄道マニアと採用(1)」
http://railman.seesaa.net/article/5491130.html会社は、情よりも銭勘定を優先せざるを得ない。
マニアに愛された往年の車両でも、メンテナンスに人手がかかり、故障の多い車両なら、廃車にして経年の浅い車両に置き換える。
「さよなら○○系」なんてヘッドマークをつけた電車に乗って、涙を流すような人に新車の投入計画をやらせられないだろう。
それでは、鉄道会社の社員に鉄道マニアはいないのか。
そんなことはない。それなりにいる。超巨大なヒエラルキーの頂点である本社役員にも鉄道マニアがいる。
話はそれるが、日産のゴーンさんは「カーキチ」(熱烈な車好き)で、自ら発売前の車をサーキットで走らせたことがある。
車を作る人が車好きでないと、売れる車はできない。そんな思いで、日産社員を鼓舞した。
その反面、鉄道ではマニアと一般人で客単価の違いはほとんどなく、嗜好性の追求が顧客満足度をあげるものではない。
社内でも、「社員よ、鉄道マニアたれ!」なんて風潮はまったくなく、マニアであることを公表しても、損することはあっても、得することは少ない。
本社役員ですら、マニアであることを自ら吹聴することはなく、公然の秘密にする。
しかし、そこは縦社会の鉄道会社。
偉い人が鉄道マニアならば、周りは知らない振りをして、その人のマニア心を満たすために色々世話をやく。
例えば、廃線になるローカル線があるとする。鉄道マニアはこういうニュースに敏感だ。
マニアの役員の取り巻きは、このいうニュースを仕入れれば、役員を廃線直前のローカル線に乗せるように手配する。
手段はいくらでもあるのだ。
そのローカル線の近くに自社のエリアあれば、現場や支社への出張をつくる。
無事故で問題が発生しない静かな現場ならば、表彰の口実を探す。
事故を発生させている現場ならば、事故防止の監査目的で視察に行く。
自社のエリアでないときには、近くのメーカーに工場視察に行く。
夜は懇親会を入れて1泊させれば、翌日は廃止になるローカル線に乗せられる。
「これで点数を稼げた」とほくそえむ取り巻き。
犬のように忠実な取り巻きに囲まれ、マニア心を満たして子供のようにはしゃぐ本社役員。
内々の論理で、時間とエネルギーを費やす。
不思議な世界である。
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 21:09
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愛すべき「鉄道マニア」様
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