鉄道関連の本と音楽とDVD

 「誰も語りたがらない 鉄道の裏面史」

佐藤 充 5年ぶりの書き下ろし!
107 名の死者を出した「福知山線脱線事故」、政治家の思惑がからみあう「新幹線の利権」、鉄道が買われる「阪神電鉄村上ファンド買収事件」、東京を襲った未曾有のテロ「地下鉄サリン事件」、首都圏で起こった乗客の暴動「上尾事件」、初代国鉄総裁の謎の死「下山事件」……
2015年5月15日発売

「定刻発車」

最近本屋に行かれた方は、鉄道関係の文庫本が平積みになっているのに気づかれたであろうか。
(この記事は2005年7月に書きました)

定時運行へのプレッシャーと福知山線脱線事故の因果関係が注目される中、文庫本として再出版されたのが、

 「定刻発車」(著 三戸裕子 新潮社文庫)

である。

これは、丸善丸の内本店 販売冊数ランキング 文庫部門でも2位になった。
(5月19日〜5月25日集計)

鉄道関係の書籍としては快挙だろう。



周知のとおり、日本の鉄道は世界で一番正確である。
それはなぜか?

明治時代に鉄道が走り始める前、日本ではお寺の梵鐘によって人々に時間の感覚が刷り込まれていた。

また、日本は街が鈴なりに連なっている特徴がある。
江戸時代、人々の交通手段は「足」だったため、街道沿いに宿場町が連なるように栄えたからだ。
そのため鉄道も近距離輸送として利用されるので、遅れが大きいと利用価値がない。
(歩いたほうが早い、と思われては利用されない。)

このような背景が、正確な鉄道を生む環境になったという。


そして記述は現在の鉄道会社へと移る。

運転士は

「線路の状態を仔細に知り、線路上のそれぞれの地点における車両の走行状態をイメージ」

して「驚異の運転技術」を習得し、指令員は

「線路の本数や分岐器の位置、乗換え口の位置など、駅の構造はもちろん、そのとき現場がどう動いているかがことごとく見えて」

おり、これら鉄道を支える人々(仕組み)によって、定時運行が確立されているという。

否定するわけではないが、(JR東日本への取材が中盤のメインとなっているためか)鉄道会社を賞賛し過ぎているのが気になる。

確かに鉄道マンに浸透している「ダイヤを守る」という志があってこそ定時運行は守られているが、一方でボーっとして停車駅をオーバーランしてしまう運転士もいれば、指令員にも、判断がにぶくて遅れたダイヤをいつまでも解消できない人がいる。

定時運行には内部に阻害要因もあるし、また定時運行の影で安全が置き去りにされては困る。

ジャーナリズムが鉄道会社を絶賛するだけでは危うい。

ちなみにこの本が最初に刊行されたのは福知山線の脱線事故の前。
指令室の取材で、遅れを持った列車が回復運転するのを見て「運転士の本領発揮」と書いたのは皮肉だ。

しかし、前半の歴史的、社会的背景などの指摘はするどく、一読の価値はある。

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手塚漫画と鉄道の暗い闇

鉄道の世界は、無邪気な鉄道好きが集まる、和気あいあいとした世界でないことは、すでに何度か触れた。

 労働組合の話
  「労働組合の基礎知識」
    http://railman.seesaa.net/article/4288482.html
  「この世界を生き抜く掟」
    http://railman.seesaa.net/article/9685514.html
 国会議員の圧力
  「国会議員の圧力」
    http://railman.seesaa.net/article/6315626.html

現在もこんな状態なのは、日本の鉄道がそれだけ暗い歴史を背負ってきたからである。

今回はその一例を紹介しよう。

国鉄の総裁で、不可解な死を遂げた人がいる。
その人の名は、下山定則。
 

(事件の概略)
昭和24年7月。下山国鉄総裁は、朝8時10分ごろ公用車で自宅を出ると、国鉄本庁には直接行かず、三越本店、白木屋、神田と(降りずに)車をまわし、銀行に寄った後、三越本店で下車。
翌日、常磐線の北千住、綾瀬間で轢死体で発見される。


いかにも不可解であろう。
買い物を装っているようだが、それにしては(隣駅の)神田に車を向かわせたのが理解できない。
何らかの意図があったのか、それとも挙動不審になっていたのか。

(松本清張は、車をまわしたところがすべて地下鉄銀座線の沿線であることから、そのどこかで密会の予定があったものと推理する。)

国鉄の貨物列車に轢かれてバラバラの死体で発見されるのは、国鉄の総裁として皮肉な最期である。


結論から言うと、こんな要人が不可解な死を遂げているにもかかわらず、
真相は闇の中なのである。
最終的な公式見解が出されないまま、時効を迎えてしまったのだ。

自殺か、他殺かの結論すら出なかった。(他殺が有力だが)

なぜ真相が明らかにならないのか。


この事件を知るには、時代背景を理解する必要がある。


(背景)
・GHQの統治時代である。

・GHQは国鉄に約9万5千人の人員整理を迫っていた。

・GHQは、共産党の躍進、急進的な労働運動の発生に手を焼き始めていた。


国鉄は暗い闇に取り囲まれていた。

鉄道は雇用の場を与えるので終戦後は重宝されたが、それは労働運動の舞台になることを意味した。

GHQも、当初は労働運動を軍国主義の対抗として期待したが、しだいにその伸張を警戒するようになる。

さらに、当時の鉄道は兵員輸送を担う重要な軍事インフラ。共産国と国境を接する日本では、国鉄は特に重要な存在だった。

そんな中GHQは、名簿を作成して国鉄に人員整理を迫る。(経済を立て直し、同時に危険分子を排除するため。)

しかし、下山総裁は自らの人選での人員整理を主張。

つまり、下山総裁は、人員整理は行うものの、人選ではGHQの思い通りには動かなかったのである。

自殺説は、下山総裁がGHQの圧力に耐えかねたことを主因とし、他殺説では、(労働組合も疑われるが)GHQの謀殺と推理する。

警察の捜査はGHQには及ばない。GHQが黒でも白でも、それを日本の警察が証明するのはほとんど不可能であった。


この暗い話、手塚漫画の題材の一部にもなった。

それが「奇子」である。

天外家は、仁郎がこの謀略に手を染めて身を崩し、奇子が土蔵に閉じ込められて暗闇で育つことになる。
激動の戦後史で、天外家は欲望と罪悪の中で流され、奇子は育つ。

下山事件は
「日本の黒い霧」(松本清張)
「謀殺 下山事件」(矢田喜美雄)
に詳しいが、面倒ならば「奇子」を読むといい。天外家も奇子も創作だが、題材として使われた下山事件は史実である。

posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 20:05 | Comment(1) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

民営化して良くなりました


「JRに就職を希望しております!」

ある若者が、年配のJR社員に就職の相談を持ちかけた。
一つにはコネになってくれないかという期待があり、一つには会社の内実をヒヤリングしたいという意図がある。
JRへ就職を希望していることに、賛同してくれるか、やめておいた方がいいよと言われるか。

「うん、それはいいね。人気があるから就職は難しいけど、良い選択だよ。」

そうか、やっぱり俺の希望は間違っていないか!人気があって狭き門になるのはつらいけど、それだけ良い会社ということか。
若者の顔が輝く。

「国鉄時代はひどかったけどね。JRなら勧められるよ。」

国鉄が民営化してから20年が経つ。それでも国鉄改革、分割民営化は歴史的な成功体験なので、JRの原点として常に引き合いに出される。今もJRのトップは何らかの形で国鉄改革に貢献した人であり、一線を退いた「三人組」
と呼ばれる国鉄内部の改革者なども、いまだに国鉄改革の本を執筆している。

トップに近い人ほど、「国鉄はひどかった」「JRになって良くなった」と口にするが、国鉄はそれほどひどく、JRはそれほど良いのか。
我々もちょっと考えてみよう。


その1 「すさんだ現場」

ある車両メンテナンスの現場。時は、国鉄時代の中でも労組全盛の頃。国鉄の長い歴史の中でも、「生産性向上運動(マル生運動)」が頓挫した後の70年代は、労組が特に強かったのだ。

「本日はゼッケン○○番の車両がMM(主電動機:いわゆる車両を動かすモーター)故障で大修庫に入っていますので、作業願います。」

大勢の現場社員を前に、現場管理者の助役が朝のミーティングで指示する。

「作業者が足りねぇーよ。経験が浅い奴を人数に入れるなよ。」

指示されたとおりに黙って動くことはない。必ず文句が出る。

「MM故障は経験していない人はいないはずです。経験が浅い人はベテランや主任が補佐してください。」

「それじゃ危険なんだよ!みんなそれぞれ自分の作業があるんだ。人の手助けなんかやってられないんだよ。」

「そうだ、助役が横について指導しろよ!」

「安全に支障がある」と、それらしい理由を言っているが、そもそも会社(当局)や管理者に敵対意識を持っているので、建設的なことを言っているわけではない。

「未経験ではないのでそれなりにできるはずです…。」

助役も気力勝負。相手の議論に飲まれたら、精神的に追い込まれる。

「どこのMMから見ればいいんだ?8つもあるんだぞ。」
「そもそも当局が採用している消耗品が悪いから壊れるんじゃないのか?」
「今日中に終わらなかったらどうするんだ?台車と車体は戻さなくてもいいんだな?」

こんなやり取りをしているだけで、どんどんと時間が過ぎていく。
矢面に立っている管理者もうんざり顔だ。現に故障した車両が入ってきているのである。四の五の言う前に修繕したくなるのがエンジニアの心意気じゃないのか。
しかし、うんざりしても、管理者は労働闘士に揚げ足を取られるような発言をしてはいけない。それがまた面倒の種になるからだ。

「安全、安全って…、壊れた車両を直さなければ駄目でしょ。」

思わず揚げ足をとられるように、「安全」の後の言葉を濁してしまう。濁したところに相手は勝ってに解釈を加えるのだ。

「安全はどうだっていいってことだな!助役!」

こういう言質を取られ、組合上層部に上げられると、後ろ盾であるはずの管理局(支社)までが、現場で戦う管理者のはしごを外す。

業務遂行を妨害するような行為が現場であったとしても、「現場管理者の指導方法にも問題があった」ということで、組合上層部と会社の管理部門が「双方に問題があった」ということで、勝手に背後で問題を収めてしまう。
繰り返しになるが、結論として、「現場の作業者に、業務遂行を妨害するような問題行為があったとしても、指導すべき管理者が、安全を軽視するかのような発言をするのは問題だから、今回はその当該社員の処罰は行わない」ということになるのだ。
こんな結末では、職場の規律は崩れたままである。
業務に熱心な管理者や現場の人々にとって、建設的でない労働闘争は、不毛でやる気をそがれるだけだ。

そんな国鉄時代に比べれば、確かに「JRになって良くなった」わけである。民営化しても少しも変わっていなかったら、許されないだろう。
だが、比べる対象がひどすぎるわけで、これから入社しようとする人が「JRになって良くなった」と聞いて、胸を撫で下ろすのは茶番である。
どれくらい変わったのか、と考えても、その基準としているところが異常なので、あまり意味がない。

国鉄は20年前に消滅したのである。そんなところと比較しても、他業界、他会社と比較しなければ、有意な就職活動にならない。



 おすすめ本



今回は、国鉄内部の改革派で、国鉄改革に尽力し、JRのトップにもなった、葛西 敬之氏の近著。
国鉄改革の真実―「宮廷革命」と「啓蒙運動」




posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 22:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

モーターマンとななめ45°

土曜7時のゴールデンタイムに放送しているので、「ザ・イロモネア」というお笑い番組をご存知の方も多いだろう。(この記事は2008年8月に書きました)
9月20日放送では、車掌ものまねで人気の「ななめ45°」が「ザ・イロモネア」に初挑戦し、大健闘。日常会話の返事を「車掌独特の口調」で返すボケが大ウケした。

最近は自動放送が増え、実際の車掌、駅員が、独特な放送をするのを耳にする機会は減ったが、これだけウケているのを見ると、まだまだ多いのだろう。

こういう独特な放送をする人、もちろん日常会話は普通に話す、普通のおじさんである。(車掌のかばんである)胴乱(どうらん)を下げ、行路表でその日の勤務を確認し、

「今日はキツいな。これ(この行路)、折り返しも短いし、夜まで息つく暇もないんだよな〜。」

なんて愚痴をこぼしながらも、結構車掌の使命感を感じていて、イソイソと出場。
乗務員室に入るやいなや、

「ご乗車、ありがとうございます。この電車は・・・。」

と、さっそくマイクを片手に節を回す。
そんなに張り切らなくても・・・。かえって耳障りで迷惑なのですが・・・。
と、客はもとより、同僚ですら心の中で思っているのだが、忠告できる人はいない。そりゃそうでしょう。これだけ張り切っているのだから、その腰を折れる人はいない。

独特な節回しは、一回つけてしまうとそれがリズムになってしまい、矯正は困難になる。車掌の仕事は、そもそも鉄道現業の中でも単調で、
 @発車時刻と信号を確認
 A「ドアが閉まります」と放送
 B笛を(吹くところでは)吹きながら、安全を確認してドア閉め
 C列車がホームを抜けるまで、安全監視
 Dホームを抜けたら、今度は後ろを見て、もう一度ホームの安全確認
 E次の駅を「車内放送」で案内
 F次の駅に着いたら、停止位置を確認し、ドア開け

をずーっと繰り返すのである。勤務開始から勤務終了まで。来る日も来る日も。運転士や管理職にならなければ、40年間も続けることになる。

話が逸れたが、これだけ単調な仕事なので、頭で考えて行動する前に体が覚えてしまい、無意識でマイクを持ち、無意識で放送できてしまう。次の駅がどこか、頭で把握しているのではなく、体が把握するのである。
この放送に節がつき、一連のリズムの中に組み込まれれば、矯正できなくなるのもわかるだろう。

さて、この車掌独特の放送を「ネタ」にして、世に流行らせたのは「ななめ45°」が初めではない。
車掌DJ(モーターマン)として、車内放送をテクノポップにのせ、もっともっと完成度の高い(もっともっとマニア度の高い)ものを、
「SUPER BELL”Z(スーパーベルズ)」が作っている。
このモーターマン、知っている人は少ないだろうが、2000年ごろは結構流行って、「第33回全日本有線放送大賞 新人賞」を受賞したほどだ。
モーターマンは、車内放送もリアルだが、シンセサイザーなどで駅や車両の音までリアルに再現し、さらにパロディー化していて、非常にマニアックな出来である。

「あっ、あっ、あっ、秋葉原・・・、山、山、山、山手線の・・・」
(知っている人はどれくらいいるかな?)

私も、当時モーターマンにはニヤリとさせられ、ちょっと気に入っていたのだが、すでに過去の人かと思っていた。しかし、驚いたことに活動はずっと続いていて、AMAZONで検索しても20件近くのCDがヒットし、なんと、近日発売の「AIR TRAIN2」なるCDもある。マニアックだが、それだけに根強いファンがいるのだろうか。

さて、最後に人気若手芸人「ななめ45°」のDVDの他に、マニアックな車掌DJのCDを並べてみよう。
私は鉄道マニアではないのだが、3年以上も「鉄道業界の舞台裏」を書いていれば、ある種のマニアになったような気がしてきた。

なかなか楽しいね、完成度の高いマニアな世界。



 SUPER BELL”ZのCD




・ AIR TRAIN2 (CD - 2008)
・ 東横特急 (CD - 2008)
・ MOTO(e)R MAN 鉄子の旅 (CD - 2007)
・ AIR TRAIN (CD - 2007)
・ The Very Best of MOTOR MAN Vol2 (CD - 2007)
・ The Very Best of MOT(e)R MAN (CD - 2005)
・ かいじ101号 (CD - 2004)
・ MOTO(e)R MANでGO! (CD - 2004)
・ 鉄道戦隊レオ☆レンジャー (CD - 2003)
・ MOTOR MAN Vol.7 江ノ電&陸羽東線 (CD - 2003)
・ MOTOR MAN はやて&埼京線WATERFRONT (CD - 2002)
・ MOTER MAN 山手線“Loop Complete” (CD - 2002)
・ MOTOR MAN 中央線/新幹線ひかり (CD - 2002)
・ Formula Man (CD - 2001)
・ MOTOR MAN Vol.3(仙台編&京浜急行) (CD - 2001)
・ スーパーベルズファン (CD - 2000)
・ MOTOR MAN Vol.II(大阪編&上野発最終便) (CD - 2000)
・ MOTOR MAN (CD - 2000)




 ななめ45°のDVD




・ ななめ45゜ TRIO DE CARNIVAL! (DVD - 2005)
・ ななめ45°「TRIO DE CARNIVAL! ~セカンド・インパクト~」 (DVD - 2007)
・ ななめ45゜ TRIO DE CARNIVAL~サード・アタック~ (DVD - 2007)


posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 19:04 | Comment(3) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ガーラ湯沢スキー場の経営は…?


「山之内秀一郎 元JR東日本会長を偲ぶ」


JRに入社した総合職の新入社員は、(会社によっても異なるが)配属まで1年近くも、「実習生」として職場めぐりをする。
これは、ゼネラリストのキャリアパスを歩ませるため、幅広い経験をさせようという目的だ。

この実習期間中、各職場や幹部社員の講義で、嫌と言うほど民営化後の成功体験を聞かされる。

関連事業の乏しい国鉄から、民営化して、旅行業、不動産業、カード事業、駅構内の商業開発、ホテル業と、関連事業は花盛りになった。
(特に緑のJRは、首都圏を持っているだけに力を入れた。)

「○○スキー場は、新幹線の駅がゲレンデに直結している。民営化したからこそできた斬新な事業です。」

「○○トンネルから取れる清水を清涼飲料水として発売したのも、現場社員のアイデアです。民営化で社員の意識も変わりました。」

技術も進歩した。民営化後は車両も大量更新し、高出力のモータ、車体の軽量化、高度な保安装置の採用などで、効率と安全の両方を高めた。

「国鉄時代は、民営化したら安全が危ぶまれると言われていました。でも実際は、必要な投資は惜しまず、安全性を高めてきました。」

技術の進歩は車両だけではない。大型工事も、国鉄時代に比べてコストを大幅に下げて成し遂げてきた。駅関連でも、国鉄時代は私鉄に自動改札で先んじられていたが、JRになり、IC乗車券で電子マネー市場を手に入れた。
そして最大の成功は、労組との関係である。国鉄時代はストが頻発し、職場も荒れていたが、民営化後、最大労組との労使協調が実現した。

「国鉄時代の最大労組は民営化に最後まで抵抗しましたが、国鉄改革は完遂され、彼らは衰退しました。JRでは、新しい最大労組と労使協調で、非常に健全な労使関係を確立しています!」

どれもこれも大きな進歩であった。国鉄という巨大な公共企業体の改革は、国鉄・JRにとどまらず、現在の特殊法人改革にも大いに参考になる。国鉄改革から20年が経ったが、まだ歴史の一ページに収められない、生きた成功体験である。
国鉄改革に関わったJRの経営者も、最近までその成功体験を教訓とさせるべく、たくさんの本を出版した。

しかし、である。全部が全部、民営化後の取り組みは成功だったのか。
どうも危ないのは、社内で失敗談が語られないのである。
色々取り組んできただけに、失敗も多数あるはずだ。
しかし、失敗談は関係者だけが小声でささやきあっているだけで、大卒総合職の新入社員を含め、社員には公然と語られない。
成功談だけ流れるのは、まるで言論統制をする国の、政府のプロパガンダのようである。
国鉄改革は大成功なのは間違いない。だけど、総合職社員が冷静さを失い、妄信的になっては会社が危ういのだ。

その中で、東大工学部出身で運転局など技術寄りの畑を歩んだ、元JR東日本会長の山之内秀一郎氏は、反省も含めた新生JRの歩みを本に残した。
(「JRはなぜ変われたか」毎日新聞社)

先のスキー場についても
「スキーブームの時代だったので実現したのだが、やはり経営は大変だった。バブル経済がはじけ、スキーブームが終わると惨憺たる経営状態となった。」
(同書)

鉄道の関連事業の代表の不動産事業でも、
「やがてバブル経済は崩れ、地価は暴落に転じ、不動産事業の多くから撤退した。幸い大きな傷は負わなかったが、われわれも一時はバブルに乗ったという反省は残る。」
(同書)
と語る。

もちろん、新生JRの成功した事例、適切に下した経営判断の数々を紹介しているのだが、その中に反省や、経営判断に悩んだ様子などを織り交ぜて書かれているため、説得力があり、読者をひきつける。

同書の中では、JRの技術系の人材についても語られる。
民営化後、多くの優秀な技術系社員を抱えながら、活用できていない実態を変えるため、山之内氏は技術専門の関連子会社を多数立ち上げた。
「1000人近い建築技術者がいながら建物の修理だけをやっている。もっと創造的な分野でこうした人材を活用できないかと思った。」
(同書)
私自身、技術系で採用されていたので、うれしい施策であった。
しかし、反面、鉄道技術者の実態がここに語られている。
民営化して企業イメージもアップし、出世志向の人だけでなく、多くの優秀な技術系の人材も集められるようになった。ただ技術と言っても基本的に整備、保守を行うユーザ企業なので、その人材を活かす場が乏しい。
東大の航空工学科で大学院まで進んだ人が、30年前に製造された車両をメンテナンスする職場で働くのである。人材が集められるようになったのは会社の成功の果実だが、働く個人にしてみれば、入社後に現実を知って落胆する場合が多い。

ちょっと余談になってしまった。

会長にまでなった人が、JRの成功の歩みを、取り繕うことなく書き残したのは貴重である。
この本が出版されたのが2008年2月。その山之内氏が亡くなったのが同年8月。
心より哀悼の意を表し、最期に残されたこの本を、鉄道業界の舞台裏としても大勢の人に勧めたい。



 おすすめ本




 「JRはなぜ変われたか」 山之内秀一郎 2008/2/16 毎日新聞社
 



posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 23:34 | Comment(1) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鉄道業界の本『よくわかる鉄道業界』

これから鉄道会社に就職活動をしようとする人は、業界を知るのにどんな本を読んだら良いか。
これがなかなか、答えるのが難しい。

いわゆる現場採用を目指す人たちには、現場の人が書いた本がいいだろう。
「鉄道業界の舞台裏」でも、「鉄道員裏物語」(大井 良)というのを紹介したが、少し古くなるが同様の本はいくつかある。

 ・鉄道員裏物語     大井 良   彩図社
 ・車掌マル裏乗務手帳  坂本 衛   山海堂
http://railman.seesaa.net/article/111486144.html

現場採用であれば、入社以来かなり長い間、現場に配属されることになる。
出世コースを歩むことになり、一時的に管理部門に配属になったとしても、管理職試験に合格して現場の管理者として帰ってくる。長いサラリーマン人生の多くを現場で過ごすので、入社前に現場の状況を知っておくのは必須だろう。
「お客さまとの触れ合いがある職場」で、列車や駅周辺の案内をしたり、気持ちの良い接客をすることに憧れることもあるだろうが、酔客への対応、理不尽なお客の罵詈雑言、場合によっては、自殺してしまったお客にビニールの手袋で接することもある。
社内事情で言えば、大卒総合職のスピード出世を見上げ、人望のない、若い上司の下で働くことになって、やり切れなさを感じるかもしれない。
悲喜こもごも含まれているのが、現実の仕事である。

現場の話だけでは、大卒総合職には十分でない。
大卒総合職と言えども、ほとんどのキャリアパスは、若い頃、そして管理職になってからも、短くない期間、現場を経験する。今どき、現場とは無縁のエリートなどは存在しない。
そのために現場の状況は知っておくべきだが、同時に管理部門も知る必要がある。
もちろん管理部門も現場の延長であり、別世界が存在するわけではないが、社内の上下関係、出世競争、労使関係、メーカーとのやりとりなど、管理部門ならではの話もあり、これも強烈なものだったりする。

現場の人の対極として、鉄道の経営者の本も数多く出版されている。
この「鉄道業界の舞台裏」のトップにも飾っているが(2009年3月現在)、

 ・JRはなぜ変われたか     山之内 秀一郎  毎日新聞社
 ・なせばなる民営化JR東日本  松田 昌士    生産性出版
 ・国鉄改革の真実       葛西 敬之    中央公論新社    
 ・未完の国鉄改革       葛西 敬之    東洋経済新報社

など、ここ数年だけでも結構刊行されている。(JR関連だけだが)

これらの執筆者は、国鉄改革の際、改革派として分割民営化に尽力し、JR後は経営者として会社を築いてきた人たちである。
会社の誕生、立ち上がり期の話は貴重である。JRは国鉄が頓挫したからこそ誕生したのであり、その猛省が会社経営の基本となっている。そのため、これを踏まえておかないと、会社のベクトルと異なるトンチンカンなことを言ってしまって、偉い人たちの前で恥をかくことにもなりかねない。
例えば、「鉄道の公共性」という単語が良く使われるが、これには注意が必要である。国鉄は公共企業体として、運賃までも国会で審議され、公共性の名の下に経営が翻弄されてきた。独立採算でありながら経営の自主権はなく、ついには破綻。
今は民間企業であり、社員も「公共性」という言葉を使うことで、「採算を度外視する」という意味に誤解されたら、白い目で見られ、出世に響きかねない。だから注意して使う必要があるのだ。
上記の本で、国鉄改革の精神をお勉強しておくことは、自分の身を守ることにもなるだろう。

しかし、元経営者たちの本も、これから働こうという若人には十分ではない。今の会社を国鉄と比較されても、国鉄という組織はすでにこの世にないのだから、会社の選考に関しては参考にならない。
知りたいのは、実際に入社して、周りの人たちはどんな人たちがいるのか、どんな仕事に日々追われているのか、社風は自由なのか。こういうことを、現在の他の会社、業界と比べないと参考にならない。国鉄に比べて良くなっていたとしても、他の会社に比べて劣っていれば、その点は良く考えて会社選びをしなければならないわけだ。
つまり、管理部門の”現場”の実態を知るのが難しいのである。

さて、先日
「よくわかる鉄道業界」(舛本哲郎 小須田英章)(日本実業出版社)
という本を読んだ。
鉄道会社を志望する人をターゲットにしているし、実際に就職活動生にも良く購読されていることだろう。「鉄道業界」をタイトルに掲げる一般書は、これくらいしかない。

この本は全286ページ。そのうち約3分の1が、国鉄民営化までの、日本の鉄道の歴史を記している。実は2人の筆者は、鉄道会社に勤めた人ではなく、記者である。この歴史に関しては網羅的で、しっかりと調べて書かれ
 ており、鉄道の歴史を扱った類書の中でも、群を抜くと思う。
鉄道会社の経営者が書いた本などにも鉄道の歴史が書かれていたりするが、この記者たちには太刀打ちできない。鉄道の歴史を知るには良書である。
しかし、それに続くページでは、全体の半分を各社の沿革が続く。まるで事典である。表面的で、百科事典やインターネット、会社パンフレットを読めば調べられるものを、まとめただけの味気なさがある。
その他には、昨今の技術動向、施策があり、各職種の紹介があるが、これも就職情報誌を読んでいるようで、実際に働く現場からはかけ離れている。
タイトルとしては、「日本の鉄道の歴史とこれから」ぐらいの内容である。

就職といえば、人生を賭けた大きな決断である。それにしては、就職活動生が知るべき情報は手に入りにくい。手前味噌だが、本サイト「鉄道業界の舞台裏」がその一助になりえたらと願う。

posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 23:24 | Comment(6) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「鉄道業界の舞台裏」が本になりました!


 「社名は絶対明かせない 鉄道業界のウラ話」

  【目次】

  第1章 事件ばかりの鉄道の現場

  マグロの車両が入りました/台風襲来時の現場/無人駅、夏の悲劇…/鉄道警察隊の仕事

  第2章 タブーだらけの鉄道の管理部門

  新型車両はこうして作られる/危険すぎる車両故障/理解しがたい仕事の数々

  第3章 複雑怪奇な鉄道の人間模様

  鉄道とは労働組合の世界です/驚くべき乗務員の生態/記憶に残る鉄道ファン


「鉄道業界の舞台裏」で発行してきたネタを、書籍向けに新たに書き下ろし、また、新たな話も加え、出版しました。

これも、ご愛読いただいてる皆様のおかげです。
本の方も、ぜひよろしくお願いします。
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「徹底解析!!最新鉄道ビジネス」に執筆しました

(ライターとして携わりました)

「徹底解析!!最新鉄道ビジネス」が書店に並びました



   【目次】

   巻頭特集  JR九州がすごい!!

   Part1    国内全200社500路線の経営収支ランキング

   Part2    通勤電車の経済学

   Part3    鉄道のお値段 〜鉄道事業のコストと収益のしくみ〜

   第2特集   鉄道先進国ドイツに学べ!!

   Part4    鉄道会社のサイドビジネス戦略

   Part5    最新(得)鉄道利用術

※ 佐藤充はPart4のp108〜p116を担当しました
   
先週木曜日から書店に並びましたが、現時点でAmazonは品切れです。

この本は昨年の9月に企画が始まり、私も企画提案から携わりました。

書籍などで情報収集し、試し書きなどを経て、12月から執筆を開始し、編集者さんと校正を重ねました。

私が担当したのは9ページほどですが、未熟ながら入魂いたしました。

私が何を書いたか・・・。それはぜひ、書店で確かめてください。

佐藤 充
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 21:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鉄道特集を出す東洋経済編集長の痴漢事件

「また鉄道ネタか・・・」

今朝(2012/2/20)、日経新聞の3面広告を見てため息が出た。

我々のようなサラリーマンをターゲットにした週刊誌は多いが、月曜日には東洋経済とダイヤモンドという硬派な雑誌が発売される。
この2誌のレベルは高く、多くのデータを分析し、読みやすく、面白い特集記事を作ってくれる。

ただ、私が少々気になるのは、特に東洋経済の鉄道特集が多いことだ。
ちなみに、本日(2012/2/20)発売の東洋経済も鉄道特集である。

(2012年2月) 週刊 東洋経済 鉄道再起動

(2011年6月) 週刊 東洋経済 増刊 鉄道完全解明2011年

(2011年4月) 週刊 東洋経済 鉄道被災

(2011年2月) 週刊 東洋経済 鉄道最前線

(2010年6月) 週刊 東洋経済 増刊 鉄道完全解明2010年

(2010年4月) 週刊 東洋経済 鉄道新世紀

(2010年2月) 週刊 ダイヤモンド 臨時増刊 This is JR


昨年(2011年)は増刊も含めて3回も特集したことになる。
それだけ、鉄道ビジネスのネタは売れるのだろう。

気持ちは分かるが、一読者として言うと、少々食傷気味である。

もっとも、私の場合はその批判が自分自身に跳ね返る(苦笑)
先日発売された「最新鉄道ビジネス」(洋泉社)は、まさにこういう鉄道特集の読者をターゲットにしたもので、私はそこで原稿を書かせてもらったのだ。

余談を書いたが、本題はここからである。
先週金曜日(2012/2/17)の深夜、この東洋経済の編集長が、京浜東北線の車内で痴漢をした容疑で逮捕されてしまったのだ。
23時過ぎのことで、20代と30代の女性2人が尻を触られたという。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120219-OYT1T00075.htm

このニュースが流れたのが、昨日(2012/2/19)の日曜日。つまり、東洋経済の鉄道特集が発売される前日である。
冤罪でないとしたら、なんともすごいタイミングではないか。
(痴漢は冤罪も多いので、慎重になるべきだが。)
http://railman.seesaa.net/article/91655529.html

編集長は、鉄道特集の紙面を作り終えた後に酒を飲み、帰りの電車で痴漢をしてしまったのだろうか。
酔っていて覚えていないようだが、わざわざ話題になるタイミングで事件を起こしてしまった。
鉄道で痴漢をしてしまった編集長、その編集長が手掛けた鉄道特集の雑誌が、全国に発売されてしまったのだ。



さて、一読者として勝手なことを言わせてもらえれば、これを契機に(・・・というのは変な発想だが)、編集長も代わるだろうし、そろそろ鉄道特集の回数を減らしたらどうだろうか。
私以外にも、食傷気味の読者は多いのではないだろうか。

私自身、月曜の日経新聞を開くとき、ダイヤモンドと東洋経済が何を特集しているかを楽しみにして開いている。皮肉ではなく、レベルの高いこの2誌には、良い特集を作り続けて欲しいと思っている。

鉄道の特集が多いのは、少し安易な感じがする。
期待しているが故に、時流をつかんだ、それでいて知られざる面白い特集をこれからも期待している。
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 23:20 | Comment(4) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「鉄道業界のウラ話」が文庫になりました


(650円 2012年4月17日発売)

文庫化できたは、ご支持くださった皆さまのおかげです。
心よりお礼申し上げます。


  【目次】

  第1章 事件ばかりの鉄道の現場

  マグロの車両が入りました/台風襲来時の現場/無人駅、夏の悲劇…
  /鉄道警察隊の仕事

  第2章 タブーだらけの鉄道の管理部門

  新型車両はこうして作られる/危険すぎる車両故障
  /理解しがたい仕事の数々

  第3章 複雑怪奇な鉄道の人間模様

  鉄道とは労働組合の世界です/驚くべき乗務員の生態
  /記憶に残る鉄道ファン


この本が単行本として出版されたは2年前。皆さまからは、多くのご感想をいただきました。

直言居士の友人たちからは「人身事故の話はちょっとエグイ」との意見をもらったり、現役の鉄道マンやOBからは「業界のことをよく描いてくれた」との共感や、一般の方々からは「一気に読みました」とのご好評を多くいただきました。

皆さまのご感想が、私にとって何よりの喜びであり、刺激となりました。

総じてご好評が多く、文庫として再出版されることになりました。
あらためてお礼申し上げます。

お求めやすい価格(650円)になりましたので、まだ読まれていない方も、ぜひご一読ください。


読後の率直なご感想を、Amazonの評価やブログの書き込み等でお聞かせいただければ幸いです。

これからも、よろしくお願いします。

佐藤充

posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 18:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「新幹線・特急列車の経済学」の執筆ウラ話

徹底解析!!最新鉄道ビジネス 新幹線・特急列車の経済学」に執筆しました。


目次

Introduction 新幹線・特急列車が鉄道ビジネスを支える

特集 新幹線・特急列車の経済学

Colmun 特急列車が稼ぐ「副収入」

Part1 巨大媒体に進化する「鉄道広告」最前線

Part2 企業財務のプロが読み解く 東西大手私鉄の決算書

Part3 数字で見る 地方鉄道 復活のアイデア

Part4 最強のカードはこれだ!! JR系カード徹底比較

Colmun 鉄道関連業界のお値段

巻末付録 JR特急列車 イラスト&データカタログ

詳細目次(出版社HP)


私は、特集の中の

「新幹線1編成40億円超!! 鉄道車両のお値段」

と、特集あとのColumnの中で

「小田急vs西武 箱根山戦争の行方」

を書かせていただきました。


お仕事をいただけるのは本当にありがたいことです。
しかし、ここは「舞台裏」のブログなので、執筆ウラ話を少々ご紹介しましょう。


出版社の企画会議が終わると、私のような執筆者は、自分の記事を書き始めます。
今回のようなムック本では、図表を使ったわかりやすい記事にするため、執筆者もデータを集めて表やグラフを提供します。写真がうまい人は、写真も提供します。

ここが執筆者が頑張るところですね。
締切に遅れないように、そして読者の方々に満足していただけるように全力を尽くします。

編集の方は、執筆者から上がってきた原稿・図表などを使って編集を行います。
紙面をレイアウトして、タイトル類を入れて、写真を盛り込み、執筆者の図表を取捨選択し、足りない図表は自ら用意します。
文章の方も、レイアウトの都合で分量調整したり、文意は変えないまでも色々修正を入れます。
(編集者の仕事を見ているわけではないので、正確にはよく知りませんが。)

これらの編集が終わったら、執筆者に戻します。
(たぶん、これを「初校出し」というのだと思います。)
執筆者にとっては、WordやExcelで提出したものが、レイアウトされた美しい記事になって返ってくるので、ここで少々感動します。

しかし、執筆者はここでしっかりとチェックしないといけません。
編集の方が入れたタイトル、図表やその但し書き、写真を見ると、間違っている箇所が多々あるのです。
(編集者さんは、記事の内容に精通しているわけではないし、たくさんの記事を編集するので仕方がないことです。執筆者がここでしっかりチェックしないといけません。)

今回、私が書いたところでも色々ありましたが、その中の一つに、東海道新幹線の「ひかり・こだま」の写真がありました。
編集の方が用意されたその写真は、この段階では300系でした。
(読者の皆さまは御存じだと思いますが、この形式は引退しましたよね。)

この写真は載せ替えるようなマークがついていたので、

(大丈夫かな・・・)

と思いつつ、この写真以外のところを赤で修正して、編集者に送り返しました。

この後、編集者は記事を仕上げて、もう一度執筆者に送ります。
(締切が押していると、これが省略されることもありますが。)

300系の写真はどうなったかというと、700系になっていました!
しかし!JR西日本の「ひかりレールスター」の写真です!

(ヤバイよ、これでは読者からクレームが来るよ。)

「ひかりレールスター」は、車体の色がネズミ色なので一目瞭然。ディープな鉄道ファンでなくても、これは気づきますね。

編集の方にメールで、

「色の白い車体の方です」

と、よくよく念を押して返しました。

後日、出版されたムック本を開いてみたら、N700系の写真になっていました。

たしかに白い車体の写真です。しかし、東海道新幹線の「ひかり・こだま」といえば700系ですよね。N700系も「ひかり・こだま」で使われないこともないですが。

ガックリきましたが、なんだか笑ってしまいました。

良かったら、このN700系の写真を探してみてください。

posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 10:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「徹底解析!!最新鉄道ビジネス2013」の執筆ウラ話

徹底解析!!最新鉄道ビジネス2013 (洋泉社MOOK)」が出版されました。
私も執筆者の一人として携わりました。




この本は、「鉄道会社200社の経営力」という、全鉄道事業者を網羅的に紹介したものがメインになっています。

私は、伊予鉄道と高松琴平電鉄を取材したルポや、「鉄道会社200社の経営力」でもだいぶ書かせていただき、結果的に執筆量が相当多くなりました。

「鉄道会社200社の経営力」の執筆ウラ話を少々紹介します。
(ウラ話ってほどではないですが・・・)

大きい鉄道会社は記事が大きくて執筆も大変なように見えますが、意外に小さい鉄道会社をたくさん書く方が大変でした。

上場しているような大手鉄道会社の場合、有価証券報告書や、中期の経営計画も公開されているので、情報が入手しやすいのです。
一方で、小さい鉄道会社は公開している情報が少なく、調査の手間はかかりますが書く分量は少ない。「インプットが大変な割にアウトプットが少ない」ものになります。

私の場合、地方私鉄の大部分を受け持ったので、それだけ大変だったのですが、かなり勉強になりました。
大手鉄道会社のことは広く知られていますが、地方私鉄の実態はあまり知られていないので。

「鉄道ビジネス2013」に携わらせていただき、とてもありがたく思っています。
皆さまにも満足していただければ幸いです。


目次

巻頭 新線・新駅の経済効果
・始動する巨大プロジェクト山手線新駅建設の思惑
・山手線新駅誕生で大きく変わる品川エリアの7年後の姿
・巨額な建設費が必要な新線・新駅 そのお金の出所
・新線・新駅開業と地価の関係
・第二中央線&なにわ筋線 夢の2大新線構想
・「環七通り線」開業シミュレーション!! もしも都内に新線を敷設したら

特集
鉄道事業者はどうやって稼いでいる?
鉄道会社200社の経営力

・JR7社&大手私鉄16社の最新収益力ランキング

◆JR
JR北海度/JR東日本/JR東海/JR西日本/
JR四国/JR九州/JR貨物
◆大手私鉄/東武鉄道/東京急行電鉄/小田急電鉄/名古屋鉄道/
近畿日本鉄道/西武鉄道/京王電鉄/京浜急行電鉄/阪急電鉄/
阪神電気鉄道/西日本鉄道/京成電鉄/相模電鉄/南海電気鉄道/
京阪電気鉄道
◆地下鉄
東京地下鉄/札幌市交通局/東京都交通局/横浜市交通局/
名古屋市交通局/京都市交通局/大阪市交通局/
福岡市交通局/仙台市交通局/神戸市交通局
◆地方鉄道
◆第三セクター鉄道
◆観光鉄道
◆モノレール・路面電車・新交通システム
◆貨物鉄道

・勢力図を変える東西「直通運転」地図

・JR6社の歴代社長の経営力

・現場ルポ 地方私鉄が直面する中古車両譲渡の実情

・鉄道会社200社実力ランキング

◆ダーリンハニー吉川の全国鉄道博物館マニアックガイド!!



posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 17:42 | Comment(12) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【近況報告】「世界一すごい! 日本の鉄道」(別冊宝島)

「世界一すごい! 日本の鉄道」(別冊宝島)

が出版されました。私も執筆者の一人として携わっています



この本は、タイトルは少し仰々しいですが(笑)、技術的な内容が多く、想像以上に(?)硬派な本に仕上がっています。


私が書いたのは、

「高速鉄道の雄 新幹線の真の実力」

です。


日経新聞の読者などは、「高速鉄道の輸出競争」の記事を多く見かけると思います。

では、新幹線、TGV、ICにEは、どのような特徴(違い)があるか。

例えば車両の大きさとか・・・。(新幹線の方が車幅が広い)

目新しいことを書いているわけではないですが、整理して8ページにまとめています。

良かったら、書店で手に取ってみてください。


また、2冊目の出版が決まりまして、現在執筆中です。

出版企画が通ったのが5月で、それ以来、ずっと執筆をしています。

資料をだいぶ読んでおり、また書き直しも多くて非常に時間がかかっています。

越年は確実ですが、なるべく早く出版できように頑張ります。
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 22:42 | Comment(3) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「徹底解析!!最新鉄道ビジネス2014 (洋泉社MOOK)」

もう先月になりますが、

徹底解析!!最新鉄道ビジネス2014 (洋泉社MOOK)



が出版されました。

私も執筆陣に加わっています。


昨年は「鉄道会社の経営力」が特集でしたが、今年は「路線力ランキング」が特集です。

(昨年よりも売れ行きが良いようです。)


【内容紹介】

ビジネス・経営視点で鉄道業界に迫る「鉄道ビジネス」シリーズ第四弾。
特集テーマは「路線力」。
各路線がどれくらい稼いでいるのか、
全国500路線の1キロあたりの運賃収入を独自算出。
その他、海外輸出ビジネスの最新動向やアベノミクスの鉄道会社への影響、
鉄道株の株主優待徹底比較など、独自のアプローチで鉄道ビジネスを徹底解析!!


私が執筆したのは、この特集と「消えゆく2階建て新幹線」のコラムです。

本屋で見かけたら、手に取ってみてください。
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 22:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

新幹線ビジネス成功の秘密 (洋泉社MOOK)

少し前のことになりますが、

 「新幹線ビジネス成功の秘密 (洋泉社MOOK)



 が出版されました。私も執筆陣に加わっています。


 私が執筆したのは、特集の中では、

 ・Part 1の「路線力」の東北・上越・北陸・山陽の各新幹線
 ・Part 3の「駅力」の東北・上越・北陸の各新幹線

 です。独立したコラムでは、

 ・Part 4の「JRが支払う“貸付料”と新幹線建設費のカラクリ」
 ・Part 4の「新幹線駅の誘致で巨額の税収を得る自治体」

 を担当しました。


 今年は新幹線開業50周年ということで、新幹線の歩みが特集です。
 
 分析してみると、新幹線も路線によって歩みが異なるのが良くわかります。

 山陽新幹線では、航空機との競争が足跡に現れていますし、長野(北陸)
 新幹線では、軽井沢・佐久平と上田・長野で、駅によって明暗が分かれた
 のが分かりました。

 さて、これから開業する北海道新幹線や北陸新幹線の延伸では、どのような
 結果がもたらされるでしょうか。


 私が読者として興味を持ったのは、

 Epilogueの「人口減少時代の新幹線論」

 でした。人口減少時代に開業するリニア中央新幹線。大阪まで開業するのは
 約30年後ですが、そのとき日本は・・・!?

 リニアの話題で湧き上がる中、冷静な分析をされている先生がいます。


 ぜひ、ご一読ください。http://amzn.to/1qRgBjJ


 (目次)

 ◆Introduction 今なお拡大を続ける「新幹線ビジネス」の過去・現在・未来

 ◆巻頭
 データで読み解く東海道新幹線成功の秘密
 〜半世紀にわたり利益率5割を維持する驚異のドル箱路線〜

 ◆Part 1 新幹線8路線の「路線力」〜1旅客人キロあたり20円台の収支構造に迫る!!〜
 ・データ比較!! 新幹線6路線の収支構造
 【東北新幹線】高速道路割引で落ち込むが震災後は復興需要で回復
 【秋田新幹線】「はやぶさ」連結でスピードアップ 震災時からの巻き返しを狙う
 【山形新幹線】新たな新幹線ビジネスのかたち 航空機のシェアを奪う
 【上越新幹線】スキー客、通勤客で輸送量が急増するも、その後横ばい
 【北陸新幹線】軽井沢と佐久平が好調 駅によって明暗が分かれる
 【山陽新幹線】震災や航空機の台頭で落ち込むも2003年のダイヤ改正で復調
 【九州新幹線】全線開通、山陽新幹線との直通運転で旅客収入は10年で4倍に
 ・新幹線+温泉!? 高速鉄道に“お座敷”を取り入れる新戦略「とれいゆ」
 ・東海道と異なる進化を遂げた山陽版「ひかり」
 ・運賃設定にみる国鉄の迷走
 ・JR4社のリソース活用戦略
 ・「ミニ新幹線」が広げる新幹線ビジネスの可能性

 ◆Part 2 究極の“おもてなし”車内サービスの進化史
 ・車内サービス50年史
 ・60種もの多種多彩な品揃え 車内販売の売上ベスト3
 ・車内販売のプロフェッショナルに聞く パーサーの熟練した技術と“やりがい”
 ・グリーン車、グランクラス、食堂車 特別車両の経済学
 ・新幹線お得切符徹底ガイド 
 ・ネット予約、割引切符から見るJR各社の思惑

 ◆Part 3 新幹線全96駅の「駅力」
 ・データで見る 新幹線全96駅
 【東北新幹線】東京・仙台方面への通勤客多し 観光地へのアクセスは利便性に偏り
 【秋田新幹線】乗車人員は少ないが秋田の観光拠点として機能
 【山形新幹線】11駅中7駅がJRの他路線と接続しない“新幹線特化型”路線
 【上越新幹線】スキー人口の減少下げ止まり レジャー需要増に期待
 【北陸新幹線】延伸で需要減が懸念される長野 豊富な観光資源の活用がカギに
 【東海道新幹線】1日乗車人員10万人超えの大ターミナル5駅を擁する
 【山陽新幹線】約半分に「のぞみ」が停車 西日本のターミナルを担う
 【九州新幹線】商業施設との相乗効果で2大ターミナルは利用者増
 ・地方が期待する駅名の宣伝効果

 ◆Part 4 インフラとしての新幹線
 ・JRが支払う“貸付料”と新幹線建設費のカラクリ
 ・新幹線駅の誘致で巨額の税収を得る自治体
 ・技術革新がもたらす建設コスト削減策
 ・東海道新幹線はもっとも成功したインフラ
 ・新幹線の登場で役目を終えた特急列車たち

 ◆Part 5 新幹線輸出ビジネス最前線
 ・“ビッグ3”を猛追する中国2大鉄道メーカーの躍進
 ・JR東海の海外輸出戦略
 ・日本型高速鉄道を世界標準に

 ◆Epilogue 新幹線ビジネスの未来
 ・北陸、北海道新幹線成功のカギ
 ・人口減少時代の新幹線論
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 15:38 | Comment(1) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「徹底解析!!JR東日本 (洋泉社MOOK)」

先月の出版ですが、

徹底解析!!JR東日本 (洋泉社MOOK)


に執筆しました。

私が担当したのは、

 ◆Part1 データで読み解くJR東日本の全貌
 【輸送力】データで見るJR東日本のすごさ!!
 【組織構造】JR東日本の組織図
 【保有資産】保有する莫大な鉄道資産
 【グループ企業】グループ企業72社総覧

 ◆Part3  Suica、不動産、エキナカ 3大事業 成功の秘密
 ・JR東日本が展開する“意外な”ビジネス
 ・時速360kmへの挑戦 新幹線高速化プロジェクト
 ・JR東日本が誇る最新技術

になります。

今回は、鉄道事業だけでなく、鉄道技術や、エキナカ、駅ビル(ルミネ・アトレ)などの関連事業まで、幅広く担当させてもらいました。
(それだけに大変でしたが・・・)

JR東日本は、言うまでもなく巨大な鉄道会社で(この本もそれを強調する部分が多いですが)、あらゆる面で日本一の鉄道会社です。
しかし、直面している課題もあり、万事が思い通りだったわけではありません。

そもそも日本では、人口も頭打ちになり、鉄道事業の成長は期待できません。

すでに、地方鉄道では鉄道の衰退が著しくなっています。
そのような事業環境で、JR東日本は、東京圏や新幹線を活かして鉄道事業を維持してきました。
また、東京圏のポテンシャルを活かして、エキナカなどの鉄道事業以外を大きく成長させてきました。

しかし、ここに至るまでの道は平坦だったわけではありません。
JR東日本は、スキー場、ホテルの経営だけでなく、ボルボの自動車販売もやっていましたが、これらは完全に撤退しました。(ガーラ湯沢スキー場は除く)
住宅販売や、長期滞在型の宿泊施設もやりましたが、発展することはありませんでした。

いわゆる”開発事業”や、本業との関連性の薄い事業は成功せず、東京圏というポテンシャルを活かした事業に転換したのです。

おっと、書きすぎました・・・。詳しくは本書をご覧ください。
徹底解析!!JR東日本 (洋泉社MOOK)


なお、別件になりますが、私の2冊目の本が出版されます。
(執筆期間が2年間にもなりました。。。)
今回は鉄道の歴史に関わる本ですが、事故や事件などにフォーカスした、いわゆる裏の歴史です。
出版は5月ぐらいになりそうです。


もう一つ。昨年の話ですが(汗)、「週刊ダイヤモンド」に書かせていただきました。
内容は、拙著「鉄道業界のウラ話」の内容をピックアップして凝縮したもので、
「現場はつらいよ! 鉄道員トホホ物語」です。
週刊ダイヤモンド2014年9/20号


徹底解析!!JR東日本 (洋泉社MOOK)


 ◆巻頭特集
 ・次世代型通勤電車「E235系」 2015年ついに山手線に登場!!
 ・首都圏の鉄道網を変えるJR東日本の3大プロジェクト
   都心部最大規模の再開発 山手線新駅の経済効果
   首都圏広域と空港を結ぶ 羽田空港アクセス新線

 ◆Part1 データで読み解くJR東日本の全貌
 【輸送力】データで見るJR東日本のすごさ!!
 【組織構造】JR東日本の組織図
 【収益力】決算書から読み解く収益構造
 【保有資産】保有する莫大な鉄道資産
 【グループ企業】グループ企業72社総覧

 ◆Part2 「全69路線」の収益力を徹底解析
 ・JR東日本全69路線 旅客運輸収入・客数ランキング
 ・路線別 収益力分析
 ・究極の会員制ビジネス「大人の休日倶楽部」の営業戦略

 ◆Part3  Suica、不動産、エキナカ 3大事業 成功の秘密
 ・発行枚数4900万枚に及ぶ”国民的”ICカード「Suica」
 ・営業利益28.6% 高収益を誇る不動産事業
 ・駅スペースの活用に革命を起こしたエキナカビジネスの成功
 ・JR東日本が展開する“意外な”ビジネス
 ・デジタルサイネージで訪れる「車内広告」新時代
 ・時速360kmへの挑戦 新幹線高速化プロジェクト
 ・JR東日本が誇る最新技術

 ◆Part4 観光列車“新時代”─JR東日本の挑戦
 ・閑散路線に客を呼びこむ「観光列車」+「新幹線」ツアー
 ・「TRAIN SUITE 四季島」の運賃・損益分岐点を試算する
 ・「TRAIN SUITE 四季島」の試金石「 カシオペアクルーズ」人気の理由
 ・工業デザイナー・奥山清行氏に聞く
      「日本のクルーズトレインをデザインするということ」

 ◆巻末 JR東日本 車両イラスト大図鑑
 ・JR東日本28年史
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 11:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

5年ぶりの新刊!『鉄道の裏面史』(文庫)のご案内


5年ぶりの新刊!「鉄道の裏面史」(文庫)のご案内

前著「鉄道業界のウラ話」を出版後、当メルマガ・ブログにて「福知山線脱線事故」「信楽高原鐡道事故」を書かせていただきました。

もう5年も前のことです。


福知山線脱線事故は、ミスを隠そうとした若い運転士が、それ故に自らを追い込んで余裕を失い、106名の乗客の命を奪い、自らも命を落とした事故です。

衝撃的な事故でした。

しかし、月日とともに、JR西日本の経営者たちの刑事責任の方に注目が移り、事故を取り上げるものは減っていきます。


もちろん、被害者や遺族の「その後」に寄り添い、裁判の行方に関心が移るのは自然なことです。

裁判所は、これだけの悲しみ、苦しみをもたらした事故を、どのように判断するのかと。


一方で、

「この運転士はどのような心理だったのか」

「何故、あの大きなカーブでブレーキ操作をしなかったのか」

という「事故の瞬間」は、我々の中で「謎」になったまま、関心も薄れていきます。

それを明らかにした事故調査報告書は、提出されるまでに時間がかかりました。

そのうえ、JR西日本の問題行動(事故調査委員に接触して報告書に影響を及ぼそうとしたこと)が明らかになり、報告書の内容よりも大きく取り上げられます。

この事故は、そんな顛末をたどったのです。


この運転士に何が起きたのか。自分だったら事故は防げたのか。

私は、このメルマガ・ブログで、事故を再現することを試みました。

また、「福知山線脱線事故」から「信楽高原鐡道事故」へと展開することで、鉄道事故を集めた本を出版できないかと模索もします。

これらの事故は、被害者はもとより、加害者の視点を持って見ると、自分の身に迫るものがある。それを多くの人に感じてもらいたかったのです。


しかし、それは簡単なことではありませんでした。

事故から年月が経っており、出版に結びつくようなものではありません。

模索は3年も続きましたが、事件や事故に留めない「鉄道の裏面史」にすることで、ようやく活路を見い出します。


・107 名の死者を出した「福知山線脱線事故」

・政治家の思惑がからみあう「新幹線の利権」

・鉄道が買われる「阪神電鉄村上ファンド買収事件」

・東京を襲った未曾有のテロ「地下鉄サリン事件」

・首都圏で起こった乗客の暴動「上尾事件」

・初代国鉄総裁の謎の死「下山事件」……


模索を始めてから5年。

こうして、皆様に出版をご報告できます。

「鉄道の裏面史」http://amzn.to/1QWW0uA
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 18:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

新幹線ぴあ 新時代編

『新幹線ぴあ 新時代編』で、「新幹線のひみつ50」を担当しました。

50ともなると雑多になりますが、編集により「新幹線の歴史」「車両のひみつ」「新幹線の技術」「駅のひみつ」「新幹線のビジネス」「社会と新幹線」に分類されています。

その中には、「新幹線のCM 反響が大きかったのは?」など、変わり種も盛り込めました。
50もありますからね。

国鉄が分割民営化されて、JRが誕生した当初に、JR東海の「シンデレラ・エクスプレス」のCMが流れていたのを覚えていますか?(中年以降の世代に問いかけています・・・)

クリスマスに、遠距離の恋人が「ひかり」に乗って東京に帰ってくる。
それを待ちわびる牧瀬理穂。(牧瀬理穂以外のバージョンもありましたね。)
山下達郎の「クリスマス・イブ」の曲と、ミニドラマと、そして消えゆく100系の姿、なんだか今でも心が揺さぶられます。
(私も若かったので。。。)

この話、私が個人的に熱くなっただけでなく、企業イメージをアップさせた名作CMだから取り上げました。国鉄は、労使問題などでイメージが最低だったので。

ともあれ、これは変わり種の方で、バランスを取って50コを絞り出しています。ご心配なく。。。

この本、DVDが付録でついて1015円だから安いですよね。損得抜きで、そう思います。

新幹線ぴあ 新時代編 ―まるごと一冊新幹線ガイド(ぴあMOOK)


■■Contents■■

◆付録DVD収録内容
 ・新幹線車両パーフェクト図鑑
◆NEWS & TOPICS
 ・2016年春 鉄道業界最新情報
◆ ≪特集1≫
  ・奥津軽いまべつ〜新函館北斗間開業!
    北海道新幹線完全ガイド

  ・山陽新幹線を疾走する500系「エヴァンゲリオン」新幹線
    500TYPE EVA PROJECT
◆ ≪特集2≫
  ・新幹線カタログ
  ・いつか乗りたいユニークな車両
    個性派新幹線
  ・役目を終えて引退した
    懐かしい新幹線たち
  ・ドクターイエローの秘密
◆ ≪特集3≫
  ・イラストルポ
    西日本・九州駆け足
    新幹線巡りの旅
  ・新幹線のひみつ50
◆ ≪特集4≫
  ・新幹線はこうしてつくられる!
  ・新幹線のメンテナンス一挙公開!
◆ ≪特集5≫
  ・乗車人数から売上高まで
    新幹線路線分析 鉄道を見に行こう!
  ・京都鉄道博物館
  ・リニア・鉄道館
  ・鉄道博物館

新幹線ぴあ 新時代編 ―まるごと一冊新幹線ガイド(ぴあMOOK)

以上
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 18:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「沿線格差」に執筆しています

出版から時間が経ってしまいましたが、新書の『沿線格差』が売れています。
私も一部執筆しているのですが、売れた理由は企画力ですね。

首都圏の沿線を、遊び心を交えて比較したり、真面目に比較したりしており、そのバランスが良かったのでしょう。



 ■目次:

 第1章 首都圏の主要路線の通信簿

 第2章 テーマ別各沿線のランキング

 第3章 沿線イメージのウソと真実

 第4章 同一沿線内でも無視できない「駅力格差」


私が執筆したところは、第1章「首都圏の主要路線の通信簿」 の東西線と、第2章「テーマ別各沿線のランキング」の「痴漢被害の多い路線」です。

個人的には、(自分が担当していない・・・)

第4章「同一沿線内でも無視できない「駅力格差」」

がお勧め。
街の不動産屋さんにも勝るほど、沿線の事情が詳しく書かれています。脱帽です。
posted by 鉄道業界舞台裏の目撃者 at 21:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道関連の本と音楽とDVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする